読書記録 『シロガラス』全5巻
作者は佐藤多佳子さん。白烏神社の子ども神楽のメンバーとなった小学校5年の6人が、ある日境内にある星明石に手を触れた瞬間に雷のような青い光にうたれ気絶し、その日から特別な力を持つようになってしまった。テレポート、テレパシー、読心術、催眠術、記憶力、それらをブロックする力、それぞれが別々の力を持っている。戸惑いながらも、能力をアップさせるために様々なチャレンジをしていく。やがて境内の烏の銅像に宿る生命体、雪気(セッキ)との交流を通じて、白烏神社に秘められた謎を知る。
超能力を授かってしまった子ども達が、それぞれのやり方で能力アップしていくのも面白かったし、神楽という神事の清々しさもあり、精神的に成長していく姿がとても良かった。
私がお気に入りのキャラは、神楽に全く興味のなかった冷めた性格の有沙。いつもクールで仲間で何かするなんてダサいと思っているオシャレな女の子。彼女が持っているのはブロックの力で相手の術を封じることができるのだ。ある意味最強の力。超能力を嬉しがる皆とは違って、厄介なことに巻き込まれて困ってしまうのだが、皆といるうちに段々と熱が入っていく。そして、小さな友情も芽生えていく。私はこういう話の展開がとても好きだ。なんていうか、クールな人がちょっと熱くなるっていう流れが。だから、わりと主役キャラより脇役がいつも好きで、脇役が時々キラッと光ることをすると盛り上がる。
もう一つの見どころは古武術の所作。読んでいるだけでも背筋が伸びる。身体の使い方をもっと知りたいし、身体の声を聴きたいと強く思う。
他にも秘密基地を作るところは小さな頃を思い出してワクワク感が蘇った。裏山に作ったなー。紐やダンボールの簡単なものだったけど。自分達だけの場ってなんであんなにワクワクするんだろうか。そこで食べるおやつも特別なものに感じたものだ。
神楽の成功がゴールかと思っていたんだけど、雪気(セッキ)の話で神社の創始者森崎古丹(たしか秀吉の時代くらいに活躍した設定だったかな。)が異星人であることや、今でもコールドスリープでどこかで生きていること、更には森崎古丹を探している危険な存在がいることがわかって、成長物語からSFチックな展開になってきた。どうやら地球規模のスケールになるらしい。小学校の図書室に入れようかと読んでみたが、漢字の読み仮名が少ないので難しいかな。もう少し考えよう。何はともあれ続きが待ち遠しい。