自衛隊の人手不足についての考察①
・はじめに
今回からこのような話を書こうと書こうと思いった理由として自衛隊の人手不足のニュースでは、少子化、給料面や勤務環境によるものが志願者減少の理由として語られることが多く、志願者減少に歯止めをかけるべく、福利厚生や給与・手当の増加など待遇改善が叫ばれております。私も福利厚生や給与・手当の増加などが必要と考えております。しかし私自身が体験した経験といくつかの統計資料を見ると、果たして待遇改善のみでは人手不足に歯止めにならないのではないか、大卒者の割合が上昇してきているのに対して、旧態依然の高卒者の採用を主体にした制度に原因があるのではないかと思いが強くなってきて、文書としてまとめた方がいいのではないかと思い立ったのが理由であります。今回は自分自身の経験や調べて情報を元に自分なりに現状と課題を考えて結論を出したものになります。
未熟者の素人の考察であるため、不適切、不自然、不快な文章や表現、認識である可能性がありますが、予めご了承ください。今回は三章構成となっており、第一章では大学生の採用広報の実態について 第二章は、大卒者主体に採用戦略を転換すべき理由(各種統計、警察消防と比較、各国の状況) 第三章は、今後自衛隊が取るべき施策について書きたいと思います。第一章の話は私自身が大学で経験したことであり、この問題について最初に考えるきっかけとなった出来事について書きます。
第一章 大学生の採用広報の実態について
・大学に採用広報がない
私は大学3年生の4月、大学で公務員講座の申し込みができると聞いて申し込みに来た時、資格センターには各種公務員のポスターが掲載されていました。その中で市役所、県庁、国家公務員、警察、消防の各種ポスターと広報資料がありそれを見ていましたが何故か自衛隊のポスターだけありませんでした。人手不足が深刻であると聞いていていたので、ポスターや広報資料はあるとばかり考えていたので、正直驚きました。学生運動や教員の反対であるのかと考えましたが、学生運動なんか見たこととないし、反自衛隊の機運は全くなかったので、なぜ自衛隊は広報に来ないのだろうと不思議に思っていました。また合格実績にも警察や市役所の合格実績は多数あったものの、自衛官はほとんどありませんでした。
・警察・消防に及ばない待遇
その後、自分で自衛隊のことは調べ、地元の地方協力本部の事務所に向かい説明を受けて後、地本の勧めで公安職説明会に向かうことになりましたが、その中の説明で警察や消防にはⅠ類(大学卒業程度試験)があり大卒者には数万円前後給与が上乗せされているに対して、自衛隊にはそれに相当する区分がなく一般曹候補生は大卒者に一万円程度の上乗せがある程度で、初任給は警察には数万円、消防には一万円程度、初任給は低く、そして警察や消防は官舎や独身寮の説明や地元就職、各種手当の説明をしてくれた一方で自衛隊の方は一通り説明してくれたものの警察の待遇を超えているとは言えず、それなのにやりがいのみならず待遇面や給与面のメリットをよく説明していたことが印象に残っています
・インターンでの気づいた他大学の現状
夏には大学生に対するインターンが募集していたので、オンラインで参加しました。その際に他の大学の人と一緒に「大学生の入隊数を増やすためにはどうすればいいのか」という題でディスカッションをしました。その中で課題として出てきたことは
・自衛隊か大学にいくかの二者択一的な考えであり、大学に入隊してから自衛隊に入隊しようとするイメージがない。
・大学内に自衛隊のポスターがなくそもそも選択肢に入ってこない。
・警察や消防への就職を目指す人はいるが、自衛隊を目指す人は見たことないということでありました。
覚えている範囲でありますがこれらを鑑みてグループとして議論して出した打開策としては、
・大学内で積極的に説明会やポスター掲示を行う。
・民間企業志望者も試験を受けられるように日程や広報を考える。
・警察や消防と負けないぐらいの待遇をする
・大学生から自衛隊に入隊することは自然であるという広報をおこなう
というものだったと記憶しています。これら日程的に1日しか参加できなかったインターンですが、大学向けの広報が不足しているのではという考えのみならず、大学卒業後に自衛官として就職するというイメージ性を作り出してないのかと感じました。
・学校での広報
夏から秋になると警察や役所などの説明会の発表が大学内で開かれており、予約制になっておりましたが職員や警察官が大学にきてくれておりました。話の内容は大学生に合わせにきているのか、官舎や休み、キャリアアップなどの話が多くパンフレットなどを用いて説明してくださいました。一方自衛隊の広報はというと、各種学外イベントには出ている他、大学では学園祭に広報官がきて広報しておりました。自分は制服自衛官に遭遇してそこで自衛隊の広報官を来ているを知りました。元々自衛官が来ることは知らされておらず、自分も自衛隊のブースに向かいましたが、屋内、屋内の展示スペース共にはずれに位置しており、ほとんど人は来ずやや閑散としてしておりました。資格センターにはポスターすら貼らないし大学で説明会も開かないのに対して、学園祭には来ているのはどこに対して広報しているのだろうかと正直困惑してました。
・遅すぎる入隊募集はがき
そのようなこともありつつも大学四年生となり公務員勉強も仕上げに入り受験申し込みをおこなって受験計画を立てたころに自宅にあるばがきが届きました。入隊募集はがきです。18歳と22歳に送られるそうですが、私はもう就職試験の申し込みをしておりますし、周りでは早い人では面接や内定が決まっており、正直「一年かせめて半年前にきてほしい」と思っていました。大学4年生の4月にハガキがくるとは高校生でいうところの3年生の1月ごろにハガキがくるようなものであり、今から進路選択の検討はかなり遅く、少なくとも就職の選択肢に入るのが滑り止めとしてもかなり難しいのではないかと感じます。
・採用試験後にきた入隊勧誘電話
こちらも募集はがきと似たような状況ですが、夏におこなったインターン生に入隊の勧誘を電話でおこなってきました。その時期はなんと6月末!?これは第一志望どころか予定していた採用試験をすべておえており、第一志望の内定発表の直前でありました。高校生で例えると受験や就活を全て終えた3年生3月に進学や就職の勧誘をしてくるようなものであり、この時期に入隊勧誘の電話がかかってくるとは思わず、別件の話だと思い驚きましたが入隊勧誘の電話だと知ると今その連絡がくるのとまた驚くことになりました。自衛隊の採用戦略はどうなっているんだろうと疑念を強めました。
・まとめ
以上自分が経験した記憶を元に書きました。大学生向けの採用活動は警察と消防と比べて不利な制度であり、これら差を改善しつつも採用戦略でカバーしていくことが重要であるものの、肝心の採用戦術も上記のとおり、多くの問題を抱えていると感じました。これらの理由として、警察消防と違い大卒者の採用を主眼にしていないことで広報ノウハウが不足しているのが根底にあると感じました。現在の自衛官の大卒就職率は低く、一方で警視庁は7割、総務省消防庁は5割程度は大卒者であり、広報の主眼を高校生から大学生に移すべきであり、制度だけではなく、採用活動や待遇面の改善もすべきであり、抜本的な採用戦略を策定すべきだと思いました。
第二章では採用の主眼を大卒者にすべき理由、第三章では人材不足解消の施策について記します。
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