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Amazon Prime Videoで「PERFECT DAYS」観た

製作の背景を知ってしまうとまあそりゃ賛否両論出るだろうとは思うが。

映画にせよ音楽にせよアニメにせよ漫画にせよ小説にせよ、
発信された以上は受け取る側のものだと思っているので
今回ももちろん個人的な感想です。

そもそも邦画には日本特有の「侘び寂び」みたいなものを求めてるのかもしれません。
なんか観る作品のチョイス的に。
静かな映画が好きです。

あとやっぱり川でした。
川映画。
東京東部の川。
別にそれを狙って観たわけではありませんが(そらそうよ)。

で、感想は…
複雑な気持ちになりました。
正直な話、今自分は限りなく平山に近い生活をしていて、
それに少なからず満足を感じているのも事実。

満足、というより「不足がない」と言った方がいいかもしれません。

仕事があって住む場所があって飯が食えてる。
社会的関係は最小限に。
自己満足のような趣味にだけお金を使い、
誰の邪魔もしないし誰にも邪魔されない。

「社会的弱者を美化しすぎている」みたいな批判はこの辺から来てるんでしょうね。
いやー、実に現代日本っぽい。
甘えんな、ってことでしょ?
上目指せよ!って?
余計なお世話だっつーの。

ただ、反面それに耽溺してしまうと危険だろうな、とも思っています。
このままずっとこの状態から抜け出せないのかな、とか。
だんだんと抜け出すモチベーションが削がれて行ってしまうというか。
だから何かしなきゃ、と思う。
焦りに近いようなものかもしれません。
ただ踠いても何も生まれないんですけどね。

その「留まり続けること」を肯定しているように見えて。
途中までは。

ただラストシーン近く、三浦友和(出番少ししかないのに存在の圧がすごい)とのやり取り。
そこで、平山は実は不安を抱えながらも日々緩やかに変わっていくことを恐れない、むしろ強くそれを望んでいるような気がしました。
その辺が毎日聴く曲を変える音楽や定期的に買い足す文庫本に象徴されてる気がします。
まあそのチョイスがことごとく古典ってのがまた話を複雑にしてると思いますが。

「同じ一日はない」
「あらゆることは過去である」

あまりに直喩にすぎますかね?

ラストシーンはさすがに役所広司、って感じです。

あと平山の姪、ニコ役の中野有紗さん。
すごく良かったですね。

前述の三浦友和はもちろん、平山の妹役の麻生祐未、スナックのママ役の石川さゆり(ちょっとびっくりした)、謎のホームレス役をやらせたらおそらく世界一田中泯などインパクトのあるキャスト陣の中存在感を放っていました。

以下は何度も書いていることですし、
もちろん自分で選んでるのでバイアスがかかってます、たぶん。

ただ、映画や音楽・小説って自分が欲しいタイミングで向こうからやってくるとものだと信じています。
なぜって?その方がロマンティックだから。
作品を大切に思えるから。

"でも"今の自分にとても刺さる作品でした。

もちろん幸田文の「木」を読みたくなったのは言うまでもありません。

★★★☆☆

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