【観劇感想】『ワールドトリガー the Stage』ガロプラ迎撃編

シアターHにて、『ワールドトリガー the Stage』ガロプラ迎撃編を観劇させていただきました。

昨年の大千秋楽から待ちわびていた続編。今年も幕が上がったことを本当に嬉しく思います。4作目のワーステも演劇の楽しさをしかと感じさせてくれると共に、なお続く進化に心揺さぶられる3時間でした。

観てから書くまでに時間がかかってしまいましたが、現時点で観劇できたのは初日と東京公演の前半(浜浦さんは声のみのご出演)の2パターンなので、香取役の竹内さん演じる小南ちゃんはまだ拝見できていません。ので、東京公演前半の感想が主です。

わたしは原作から小南ちゃんがとても好きで、浜浦さんが初日とっても良かっただけにすごく残念ではありましたが、今回のカンパニーの判断にはすごく力をもらえました。声のみの判断がされた翌々日から昨年の公演で出穂ちゃんを演じた田中さんが兼役として立ったり、竹内さんが小南ちゃんを演じるという結論に至ったりと、カンパニーで個々が長所を活かしながら助け合った上で今できる最大限のものをこちらに届けてくれるのが、ワールドトリガーという作品の性質と重なってきてなんだかすごく心が熱くなりました。この作品を届けようとする気概と誠意を客席でしかと受け止めたい、のでカンパニーの精一杯が溢れたワーステとして、竹内さんの小南ちゃんも拝見したいなと思っています。ポジティブに捉えたら、大好きなキャラクターに2通りの解釈が生まれるなんて嬉しいことだなあとも。

とはいえ、キャストが怪我をした時の代役というのはなかなか難しいもので、スウィングの重要性を感じる部分も等しくあります。2.5次元ミュージカルはかなり「その役者」が演じることに依拠するコンテンツでもあると思うのですが、それでもキャストやスタッフ欄に名前があると観客としてひとつの安心にもなるのかなと。

ともかく、ただ今は浜浦さんの回復をお祈りすると共に、万全の状態で戻られる日を心待ちにしています。また舞台上でのお姿を拝見できますように。

そんな訳で前置きが長くなりましたが、本編について。

ワーステといえば、初演の際に度肝を抜かれた、身体表現と音楽の合わさった新しい表現方法「フィジカライブ(Physical × Live performance」。今作においてもGIRA MUNDOさんの音楽とともに、様々な思惑入り組む戦いを巧みに描かれていて、終始ずっと気持ちが昂っていました。改めてこの高揚感はワーステじゃないと得られないなと思います。

1幕はヒュースとガロプラの話を軸に、2幕はB級ランク戦ラウンド5を描いた本作。

B級ランク戦の振り返りから始まり、そこに今回ヒュースの視点が新たに加わる構図がとても良かったです。ただでさえ情報量の多い場面なので、振り返りという形で設けられていたのが親切な設計だなと思います。
陽太郎、舞台でやっと会えて嬉しかったです!!ヒュースとのやりとりはある種玉狛加入までの肝なので、その対話が実現したことが嬉しく思います。お二方ともそれぞれ違うところで陽太郎に似ているポイントがあって、どちらも観るとなおおいしいです。ダンスパートも可愛かった。

格納庫が大好きなのでガロプラ戦、本当に念願でした。ダイナミックなアクションに同時展開される戦闘。それぞれの隊で戦う時とはまた違うスタイルが見えたり、逆に隊があるからこその結び付きが見えたり。もちろん全てを舞台に載せるのは難しく人数の省略はありましたが、最小限かつ必要な戦力で戦っていることへの説得力が大きくて良かったです。

B級ランク戦ラウンド5。工業地帯ということでまた演出も楽しみにしていました。体にドカドカ響く転送ダンスと楽曲がたまらなく好きでした。1幕で木虎が修にスパイダーを教えた際のレーザー(のようなもの)が本当にワイヤーが張られたようで、試合ではそれが十二分に活きた演出になっていてすごくかっこよかったです。

香取ちゃん、原作でも魅力的なキャラクターで楽しみにしていましたが、香取隊は生身の人間を通すと空気の重さときまずさ、でも気心はしれた仲間でもある、という唯一無二の空気感がビシバシ伝わってくるのが本当に良かったです。柿崎隊の3人が柿崎さんに向ける視線もとっても素敵で、周りの人物の表現で柿崎国治というキャラクターが彫刻されているなと感じました。柿崎さん自身にどんなに自信がなかろうと、周りの人の目を見たらその人望は一目瞭然。それぞれのチームの関係性が目に見えてすごく良かったです。

ワーステといえば、尋常じゃない量の兼役。観に行く前からあれこれ予想するのもひとつの楽しみでもあったりします。今回はカンパニーが積極的に兼役を発信してくれているので写真も上がって嬉しいです。
ひとりひとり言及したいところではありますが、挙げるならやはり三雲修役の溝口琢矢さん演じるラタリコフ。格納庫で廣野凌大さん演じる風間と戦うことになりますが、こんなに文脈の乗った面白い兼役のやり方があるんだ!と感動しました。

風間さんとの模擬戦(舞台では大規模侵攻編)にて、修はカメレオンを使う風間さんに24敗。カメレオンの性質を見破るのに苦労し、ラストの1戦で相打ちに。その経緯があってこそ、今回の溝口さん演じるラタがカメレオンを見抜いて風間さんと戦うことで、役者の妙みたいなもので一気に戦いに背景の厚みが加わって感じられたのがものすごく印象的でした。中屋敷さんは「この役者が演じる」にことに面白さを見出して舞台を構成しているような印象を受けるので、今回それが十二分に感じられて嬉しかったです。ワールドトリガーきっかけではないどの俳優さんのファンが見ても、楽しめるように作られているんじゃないのかなと思います。
他の皆様の兼役も!とっても素敵でした。わたしも自分の好きなキャラクターが出てくるとは思ってもみなかったので動揺しましたがこういった楽しみも醍醐味のひとつです。

また本作から導入されたのが、自動制御型ペンライト。
映画で自動制御ペンラつきの応援上映に度々足を運んでいたので期待していたのですが、期待以上に色までが演出の一部となり、すごく綺麗でした。かつオンオフや色替えの必要も無いのでペンライトを振りつつも前作の時より作品に集中しきれるようになっていてすごく良かったです。

そしてもうひとつ、ワーステといえば!なダンスパート。ここも前回公演でワタワタしながら色替えをしていたので自動制御さまさまでした。ダンスと楽曲で隊によっての色みたいなものがビシバシ伝わってくるこの時間が大好きです。BORDERにはこんな個性豊かでかっこいい隊員たちがいるんだよなあと感じさせられます。その間で挟まるガロプラ勢ももちろんめちゃくちゃかっこよく。馴染みの振り付けが多少変わってしまったことはちょっぴり寂しかったのですが、新しい振りもとっても素敵でした。

ざっくばらんに書いてきましたが、ここが好き!が観た人の分溢れる舞台だと思います。わたしも細かく書き出すとキリがないのですが、言葉がなくとも1回みればその魅力が伝わってくるので身体表現と音楽の魅力を改めて感じられる最高の作品です。「舞台」だからこそできるワールドトリガーの面白みを、どこまでも追求したのが本作だなと改めて思います。

まだ観劇予定があるので楽しみにしています。ひとりひとりが繋げたものがどうか最後まで届きますように。

そして次のB級ランク戦並びに、大好きなラウンド8を今から心待ちにしています。また来年会えたら嬉しいです。

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