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地球のはなし 春暖
この数年、正月は横浜で迎えている。子供と孫たちが、その南の端に住むようになったからだ。都会と言うより、自然豊かな田舎である。
暮れには、遠い昔に切り開かれ、関東の武士団も通ったに違いない朝夷奈切通を抜けて、鎌倉まで歩いた。
その日は暖かく、汗ばみながら、2時間ほどで着いた。意外に近い。
別の日には、由比ヶ浜から稲村ヶ崎そして江の島に行った。晴れ渡り、日差しは明るく、暖かかった。
初詣で必ず行くのは称名寺(そばに金沢文庫がある)だが、いつも晴天という記憶がある。
こんな風に、晴天温暖がこの辺りの暮れ・正月の印象である。
この気候が日本海側の大雪と不可分の関係にあること、日本アルプスなどの山々が関わっていることは学校で習った知識だが、実感することになって、初めて戯れ句が浮かんだ(すでにありそうだが)。
春暖や アルプス越えの 寒気団
別府に帰ってきて、ふと、別府での初詣を暫くしていなかったことに気付いた。せめて温泉と火山の神様にご挨拶をと、火男火売神社にお参りした。鶴見連山は霧氷に覆われていたが、時折の風には暖気を感じた。
1000キロ離れた2つの場所で春暖に出合ったことを、新年の良き兆しとしたい。
(2010.1.16)
別府温泉地球博物館理事長の由佐悠紀が執筆し、新聞・雑誌などに掲載されたものを順次ご紹介しています。