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テルマエと浮世風呂

『テルマエ・ロマエ』と言えば、ヤマザキマリさんの超人気の漫画で映画やアニメにもなっていますが、意味は「ローマの公衆浴場」。
歴史学者の本村凉二(東京大学名誉教授)氏が古代ローマと江戸時代を「テルマエと浮世風呂」と題した比較史を出版しています。

NHK出版新書

※帯のイラストは”ヤマザキマリ”さん

江戸時代初期の銭湯はご存じの方も多いと思いますが、「空風呂(蒸し湯)」で少量の湯から発生する湯気で汚れを落とすものでした。
※奈良時代に仏教伝来とともに伝わった「からふろ」が起源

17世紀の半ばには「湯屋」と呼ばれる膝くらいまで湯が張られた湯船を備えた銭湯が登場しますが、半身浴程度で湯気で垢を落とす仕組みは変わりませんでした。
19世紀になると湯船にタップリお湯が張られた湯屋が登場しますが、湯気が逃げないように石榴口と呼ばれる狭い出入口から暗い部屋にある湯船に入っていたようです。
※現在のような開放的でお湯がタップリの湯船を備えた銭湯が登場するのは明治になってからです。

古代ローマのテルマエ(公衆浴場)は社交場の要素が大きく「カラカラ浴場」のような大規模なものから民間の小規模なものまで千ヶ所近くあったそうです。

これらのテルマエを実現できたのは「アッピア水道」など、山間部からローマ市街まで豊富な水を導く石造りの水道設備があったからで、この点は江戸も同じで「神田上水」「玉川上水」などの上水を整備しています。

別府には「ジモ泉」と称する温泉が百ヶ所以上あります。
町内会や地元の有志が組合形式で運営する温泉で組合員以外でも入浴できるジモ泉も沢山あります。

これらのジモ泉(公衆浴場)に行くと「水を大切に!」と掲示しているところがあり、お湯を大切にならわかりますが、水を?と初めてのヒトは驚かされます。

別府では1日当たり約5万トンの温泉が湧き出しています。
※家庭用の湯船(約200リットル)25万杯分
 別府市の水道使用量は約4万トン/日です。

しかもその温泉の大部分は高温泉(42℃以上)に分類され、水で薄めないと熱くて入ることができません。
温泉は定額制ですが、水道代は従量制なので水を使い過ぎるとジモ泉経営が赤字になるためだそうです。

温泉を湯水のごとく使えることは幸せなことですが、限りある資源であることは間違いありません。

地球の恵みに感謝して「テルマエ・別府(別府のジモ泉)」を次の世代に継承して行きたいですね!


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