e-温泉マイスター 湯平温泉
湯平温泉「志美津旅館」
e-温泉マイスター 藤田季里
私の好きな温泉は、由布市湯平温泉です。
国内の温泉地の中でも有名な、湯布院温泉の傍らにひっそりと佇む山間の湯平温泉は、立ち寄る人々を暖かく迎えてくれます。温泉街の中央を流れる花合野川に沿って伸びる石畳の坂道のある風景は、なにか懐かしさを感じさせてくれます。
その歴史は驚くほど古く、約800年前の鎌倉時代から始まります。江戸時代初期から胃腸病に効くことが有名だった湯平温泉は、次第に多くの湯治客が訪れる温泉地となっていきます。医薬品も手軽に手に入らない庶民にとって、日々の体の疲れや不調を癒すための療養型温泉として大いに発展していきました。
湯平温泉の代表的な源泉は、大湯飲用泉源で、泉質はナトリウム-塩化物・硫酸塩泉ですが、私の好きな温泉は、志美津旅館の館中にある「洞窟温泉」です。源泉名は、由布市 市有1号泉。泉質は、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉です。天然ミストサウナのような細かい蒸気が、うす暗い
洞窟のなかでゆっくりと滞留して、肌がしっとりすることはもちろん、疲れた頭もすっきりとさせてくれます。洞窟なので外の景色は見えませんが、かえって落ち着いて温泉を楽しむことができると思います。瞑想型の温泉はいかがでしょうか?立ち寄り湯もあります。
温泉に立ち寄る人の中には、種田山頭火もいました。「 しぐるるや 人のなさけに 涙ぐむ 」の句などいくつかの名句を残しています。また、昭和57年(1982年)12月に公開された映画「男はつらいよ」シリーズ第30作目の「花も嵐も寅次郎」のロケ地にもなりました。最近では、コスプレフェスタのイベントも開催されて若者層の集客にも力を入れているようです。
2020年7月の豪雨で甚大な被害を受けた湯平温泉は、復旧工事が継続している中、先月の台風14号でまた被害が発生しました。5か所ある共同浴場も今は「銀の湯」のみ営業しています。失ってはいけない大切な場所として、湯平温泉にどうぞ足を運んでみてください。
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