満月の次の日
満月の次の日は、町がきれいになっている気がする。
家も道も、木々も小さな草花も、なんとなく少しくたっとしていて、くつろいでいるよう。
朝のさんぽ。月の光に洗われた世界を歩くと、私までくたっとなってくる。雨あがりのせいもあり、とても空気がきれい。道ばたに咲く濃いピンクのハルジオンを見つけた。季節は動いているんだねぇ。
月の引力にひっぱられたせいか、はたまた浄化のせいか、昨日から具合が悪くなってしまった。近くの病院は、ものすごく混んでいたので、「みんなも月のせいで具合が悪くなったのかな?」と本気で思った。看護師さんが「今日はとても混んでまして」と恐縮していた。でも、とても具合が悪そうに見えたのか、あまり待たずに診察してもらえた。
夕方、混み合う待合室、看護師さんたちは疲れを見せず笑顔で走り回っていた。マスクをしているから笑顔は見えないけれど、ちゃんとわかった。体が弱っている時は、そういう光景が身に沁みるものだねぇ。
その夜、弱った私を案じて、友達がたけのこご飯を持って来てくれた。炊きたてのたけのこご飯はほかほかで優しいにおいをぷんぷん放ってた。
今朝は、友達が作ってくれたたけのこご飯をゆっくり噛んで食べた。熱いドクダミ茶も淹れた。味覚よりも嗅覚が、味を感じているのがわかる。食べることは再生だ。何度も何度もこの命で繰り返していく。私は少し元気になった。
満月よりも14番目の月が好き。「明日満ちますよ。これからですよ」と云っているような光を見てると、素直に「がんばるよ」と思える。満月は次の日から欠けてゆくから、何となく寂し気な気がする。今日から細る月のように、いらないものはそぎ落としていこう。次の新月まで。月のリズムに今日は乗っている。
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