おゆ

香り、草花、日々のことを徒然なるままに。

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最近の記事

バニラとの別れ

「さようなら、バニラ」のつづき バニラがおさまった箱を車にのせて、すぐ近くの斎場へ向かう。まだ寒い冬の朝。太陽が顔を出してくれていたのが救いだった。雨の寒い日でなくてよかった。斎場の前では、職員の方々が待っていてくれた。バニラは娘に任せて、私は受付へ行く。住所と名前を書きながら、斎場のホームページに「お骨はある程度の日数が経ったら静岡県のお寺へ埋葬される」と書いてあったことを思い出す。受付の方に「静岡県へ行くんですよね」と訊いてみた。そしたら受付の方が、あらって顔をして「去

    • バニラ、さようなら

      いつか書かなきゃと想いながら、心が散らかったまま時が流れてしまった。ほんとうは「死」とは忌み嫌うものじゃない。ほんとうは自分のすぐ後ろにあって、振り向いたらその淵に足を踏み入れるかもしれないくらい近くにあるもの。そう、怖いものではないはずなのに。 青い秋の空に白い雲が浮かんでる。ぷかぷかぷか、かわいい雲。そんな雲を見あげて、あぁキミは空で遊んでるのかと思う。遊びに行ったまま、帰ってこなくなったキミ。自由に空を走り回り、ころころと遊んでるんだね。夕方には、その白い毛並みをピン

      • もしわたしが死ぬのなら

        いつか時がやってきて、最期がくるなら、カラッと晴れた五月がよい。春は新しい生活が始まり忙しいし、夏は暑くて喪服はきつい。そして、秋はさみしさが増す季節。冬は足元も悪いだろうし、お悔やみに来てくれる方に気の毒… だから見送られるのは、よく晴れた五月がいい。清志郎も五月の空に飛び立った。五月の空の青は、生きてるみたいに澄んでいるし、新しい旅立ちにぴったりだ。 三月に入り啓蟄を過ぎたのに、まだまだ寒い。雪がちらついたり、冷たい雨が降るこの頃。今年は春が本当に待ち遠しい。春遠から

        • きいろ

          最近、好きになった色が黄色。なぜ、この色に惹かれるのかはわからない。前に住んでいた家の庭のミモザの花を思い出すからなのか。 「乗りたい車は?」と訊かれたら、「強いて言えばフィアットかなぁ」と答えた。そういえば、ミッションインポッシブルでもフィアットが活躍してたし、ルパン三世もフィアットだ。黄色いその車のカラーは「ミモザ」らしい。すてき。ミモザ色。 今日の朝活動は、リースを作った。昔と呼べるほど過去ではないが、前によく友達と集まって作っていた。グルーガンを温めてリースにドラ

          36.5℃の温度

          私は、香りのまぜまぜが大好きで、足して生まれてくる香りによく感動したものです。どんなバラバラな香りも一瞬でまとめてくれるレモンや、華やかさを添えてくれるイランイラン。香りの保留剤となってくれるプチグレン。私はブレンドに夢中でした。今の気持ちは「平熱36.5℃」というところでしょうか。少し落ち着いた気持ちで香りを見ています。 娘の机から小さなロールオンボトルが出てきました。もう劣化してるかな?と開けてみたけど、酸化臭もなく、フランキンセンスの香りが重く響いています。ラベンダー

          36.5℃の温度

          恋のおはなし

          古いアルバムを整理しようと、夕方になって棚から出した。昔のアルバムは白い台紙に写真を置いて、セロハンで一面を覆うタイプのものだ。ずっしり重い。 そうっと表紙をめくると、湿った空気と一緒にあの日の私が流れだしてきた。わわわ。なつかしい。なつかしくてかわいい。そして、みんなすごくかわいい。 20代の頃の写真など、飲んでる写真ばかり。カラオケで盛り上がったり、外でバーベキューしたり、花火を振り回したり、服をびしょびしょに濡らして笑ってる。ビールの缶を積み上げて、にっこにこの笑顔

          恋のおはなし

          満月の次の日

          満月の次の日は、町がきれいになっている気がする。 家も道も、木々も小さな草花も、なんとなく少しくたっとしていて、くつろいでいるよう。 朝のさんぽ。月の光に洗われた世界を歩くと、私までくたっとなってくる。雨あがりのせいもあり、とても空気がきれい。道ばたに咲く濃いピンクのハルジオンを見つけた。季節は動いているんだねぇ。 月の引力にひっぱられたせいか、はたまた浄化のせいか、昨日から具合が悪くなってしまった。近くの病院は、ものすごく混んでいたので、「みんなも月のせいで具合が悪く

          満月の次の日

          ゆうべ眠れなくなって困った。心配事が夜にはどんどん膨らんで、おさまりがつかなくなる。夜中の3時。お茶を飲んだら、よけいに目が冴えて寝返りばかり。朝は遅くゆっくり支度。散歩に出たら今日も鳥の声が美しく響いていた。その中を犬と歩く。眠れない黒い夜も、心の塊も、鳥の声に溶けてゆきます。

          ゆうべ眠れなくなって困った。心配事が夜にはどんどん膨らんで、おさまりがつかなくなる。夜中の3時。お茶を飲んだら、よけいに目が冴えて寝返りばかり。朝は遅くゆっくり支度。散歩に出たら今日も鳥の声が美しく響いていた。その中を犬と歩く。眠れない黒い夜も、心の塊も、鳥の声に溶けてゆきます。

          それぞれの春

          週末、金沢から娘が帰ってきていて、回らないお寿司屋さんに行ったり、買い物に行ったりして過ごした。サボテンが欲しいとのことで、近くの花屋さんへ行って、ちょっと変わった形のサボテンを買っていた。名前は「竜神木(リュウジンボク)」神様みたいでいいね、と満足そう。 夕方には、お隣りのママが家に来た。わが家を真ん中に、両隣はとても仲がいい。しばし、外でみんなでおしゃべりした。娘はそのまま、お隣りのママが大切にしている観葉植物たちを見に行き、私は夕飯の用意に取りかかることにした。しばら

          それぞれの春

          親と香りができること

          3月に入り、娘の引越しの準備を少しずつすすめています。その傍ら、娘のためのピローを新しく拵えたり、掃除に使うスプレーや、そうそうあれも必要かも?と思い、サシェを拵えたりするこの頃です。 思えば、毎日が「贈りもの」の連続のよう。作っては手渡す、作っては手渡す、を波のようにくり返しているみたいです。それは、朝のおにぎりだったり、今日の無事を祈りながら干してたたんだ洗濯物さえも、大切な贈りもののように思えてきました。小さな暮らしの中は、たくさんの祈りがこもった贈りものであふれてい

          親と香りができること

          あずかりもの

          子どもというのは「授かりもの」ではなく「預かりもの」だと何かで読んだのは、26年ほど前でしょうか、息子が生まれて間もなくのことでした。 その記事を読んだ時、目からうろこというか、あ〜そうなんや〜と妙に腑に落ちたのを憶えています。その記事を切り抜いて、ノートに貼り付け、何度も何度も読み返したっけ…。 子どもというのは、授かったのではなく天から預かり、育て、世にお返しするのだと、あの時、親になる決意みたいなものが私の中にできたような気がします。 子どもの就職や結婚などで、今

          あずかりもの

          人生とは生きるに

          香り作りは、朝早く行うと決めています。生活の匂いがまだしない朝、五感である嗅覚が目覚めたばかりの朝、窓を開けて新しい空気を入れる朝、なんとなく朝がいいかなと思うからです。 ビーカーをきゅきゅっと磨いて、そこへメインの精油をぽとりぽとり。そこからサブの精油を足して、香りを嗅ぎながら、また足していきます。ゴールデンブレンドをひそかに狙いながら、あとは風まかせ、時まかせの香り作りがとても好きです。 ブレンドした香りは、少しずつ変わっていくのも面白いです。それと、まったく同じ香り

          人生とは生きるに

          コーヒーアロマと引き出し

          ワークショップやイベントをいろいろ開催していた頃、七尾市の老舗である喫茶店「中央茶廊」さんで、お友達の消しゴムはんこ作家さんと一緒にバレンタイン企画を企てました。 コーヒー豆のピローをみんなで作るワークショップです。まず、ピローを選んで、消しゴムはんこを思い思いに押して、オンリーワンのピローにします。そして、コーヒー豆と小豆をブレンド。コーヒー豆は、もちろん中央茶廊さんが焙煎してくれたものを使いました。これがとってもいい香りで、みんなうっとり。そして、コーヒー豆と小豆を計っ

          コーヒーアロマと引き出し

          ただ辿ってみよう。

          久しぶりに仕事のパソコンを開いたけれど、長いこと眠っていた機械もなかなかと目覚めてくれずゆっくりしています。 私は大変なお正月を過ごしていました。年末から頭痛が激痛に、それから奥歯が痛んでいたものの治療に行くのは来年にしようとやり過ごしていたのですが、とうとう痛くて眠れないという事態発生。当番医をネットで探し、歯医者へ電話をかけ治療をお願いし、なんと抜歯をするということになってしまいました。うぅぅ・・・痛い話を新年早々申し訳ありません。 今はパンパンに腫れたほっぺたも落ち

          ただ辿ってみよう。

          カタチが変わるだけ

          毎年恒例のようになりましたが、わたくし母サンタは今年も、ムスメの部屋のドアの下に適当なプレゼントを置きました。 プレゼントといっても、朝起きてドアを開けると、足元にリボンのかかった、ほんと適当な品物が置いてあるだけのものです。お金もかかっていないし、ブランドのバッグでもありません。 昨夜、リボンを結びながら、こうやってプレゼントを置くのって今年で最後か、と思いました。ムスメは来年の春、学校を卒業し(予定)、国家試験も合格し(予定)、この家を巣立っていきます。だから、こうや

          カタチが変わるだけ

          月に一度、遊ぶ約束をしている友達がいます。高校の時からの友達です。「遊ぶ」と言っても、お茶したり飲みに行ったり、お風呂に行ったりする感じです。 今朝、朝のさんぽ道のルートを変えて、彼女の会社の前を通りました。朝早くから会社の中に誰かいる様子。そしたら、その会社の人が私に気づいてくれて「呼んでくるから待っててー!」と彼女を呼んでくれました。 こんな朝早くみんな出勤してるんだと思ってびっくりしていたら、そこに彼女がひょっこり現れ、私を見て「こわい!」と言うのです。なにがこわい