記憶 #5
向かいの神社の例大祭。
そんなに広くもない場所に、屋台が並ぶ。
親子、学生の友だち同士。そんなにいっぱいどこに住んでいるんだろう、と思うくらいの人で境内があふれる。
この頃のおもちゃは光って音が鳴るのが人気らしい。小市民にとっては、屋台に値段が書いていないのが少し怖い。
スーパーボールすくいの光。
イカの焼ける匂い。
はぐれないように繋ぐ手。
人の隙間を縫うように歩く。
空が光る。一拍おいて、花火の開く音が届く。
鳥居の近く、少し開けた場所で見上げる。
遠くから観光に来るような大きな花火より、地元のお祭りで上がるくらいの花火のほうが風情があると思う。
そんなに長くない花火が終わって、
また次までの1年が始まった。
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