
ルマン湖を全力で一周する
cyclotour du léman、スイスとフランスに囲まれたルマン湖を一周するという自転車のファンライド。ただ、速度域的に決してファンライドではなく、レースであると唱えたい。ほんと。
スイスの朝は早かった
早朝の6時5分、なんとなく目が覚めました。確か7時半発だからまだ寝れるな。よし、二度寝しようと寝ぼけながら思っていたところ、同じ宿にいた自転車乗りはゴソゴソと準備をして、チェックアウトをしていくのが見えました。
???
はて、アップでもするのか?などと思い、寝ぼけ眼を擦りながら、大会の詳細が書いてあるPDFを見たところ、6時半出走開始。と書いてあります。
やばくね????
完全に出走時刻を勘違いしていました。
要するに、あと9分以内に準備をして、会場へ向かわねばなりません。
幸いにもスタートナンバー等の準備はできており、あとは着替えと、荷物の積み込み、トイレ(これ大事)、チェックアウトのみです。
ここからは朝ごはんのパンをフレームバックに突っ込み、レーパンを履きながらトイレへ駆け込むなど、貧相のカケラもないムーブをして、無事に6時14分にチェックアウトをして会場へ自転車を向かわせました。
会場までは5分で着いたため、思ったよりも荷物を預ける時間など、わりと余裕もあり助かりました。
というのも私のようにバックを持ってくる人にとってバックを持ちながら170km走るのは流石にもきついというものです。ということでバックを受付で預け、出走準備へ取り掛かります。
無料で貸し出されている空気入れで空気を入れたり、クイック(ホイールの軸)やハンドルの緩み等を確認したりしながら出走地点へ並びます。
当日の天気は曇り、午後に小雨が降るかも、と朝から少し曇っており、不安を感じるものがあります。

改めてこのレースについて話すと、このレースは完全に交通を遮断して催されるレースではないため、“一応“現地道交法が適用されます。
ただし、サポートバイクが車を止めてくれたりと、何かと優遇してくれるため、完全な停止状態が長く続くということはかなり少なく、横断歩道にも係員がいてロードバイクを優先して通してくれます。
ただ、あくまでも公道であり、車も走行するため、出走に際しては一列10人くらいを順々にスタートさせるような形となっています。そのため、急いで6時30分には列に並べたものの、スタートラインを超えたのは7時8分と、30分くらいのんびりと列の後方で待っていました。(別に急がなくても良かったと思ったのは内緒)
ようやくスタート!

スタートラインを跨いで、GPS機器のガーミンに残り170kmという数字が表示されました。道のりは長そうです。
さて、今回の目標は10時間です。朧げながら浮かんできた数字ではありますが、流石に長いので時速25kmで走って、休憩は30分以上とか取るだろうというイメージです。早くても7時間くらいかなとは思っていましたが、一番は怪我なく帰る、これに尽きます。
家から遠い場所で怪我は嫌すぎる……
最初はアップのためにゆっくりめのペースで……
露が葉に残るような、涼しげな空気の中、ペダルを漕いでいると、目の前には残雪の残る高山が見えるなど、テンションが刻々と上がります。
その結果、なんか早い集団を作ってしまった……

そう、テンションと共にペースが上がった結果、徐々に集団を抜かして前へ進み、その集団にいた前に行きたい人をピックアップしてしまい、最終的にはこの7人の小集団で進むこととなりました。
5kmラップは基本的に9分をきる速度で第一エイド地点までこの集団で行くこととなりました。
いや、速いよ?速すぎるよ?
ただ、うまくローテーションができていたので第1エイドの時点ではそんなに疲れていなかったのが意外でした。
なお、残り110kmもまだ残っています。
第1エイドで小休憩

さて、朝のバタバタのおかげで朝ごはんを満足に食べられていないので、ここでフルーツとかパンやらを食べることにします。

チーズとパン?……
すごいですね、初めてエイドでチーズを見た気がします。
自転車に乗ってチーズを食べるというのはなんとも不思議な感覚に見舞われますが、自分にとっては助かります。
他にもクッキーの周りにチョコを纏わせたお菓子もありました。
あれですね、ほぼちんすこうです。美味しいです。
他には開催地のご当地水でもあるEvian水もおいてあります。ここが水源のところなんですね。エイドの水は基本的によくわからない味(好意でポカリみたいな粉を入れてくれているだけです)がするので、ここでEvian水をチョイスするのもありな選択肢かと思います。
お菓子を食べていると、後ろから“こんにちは“と聞こえました。
話しかけてくれたのは、まさかの日本人でした
どうやら、相手も私のことを出走リストで見たらしく、埼玉の方ですか?と言われました。そりゃインパクト強いわな。
ここで少し雑談をした後、一緒にスタートすることにしました。TIMEに今は亡きアメリカンクラシックのホイールを履かせて、スラムの紐式変速機というセンスの塊の自転車に乗っている方で、こちらの拙僧のないロードバイクとは大違いです。
(基本的に自分の自転車には品がありません)
アメリカンクラシック
かつては自転車のハブやリムなどを製造していた。現在はホイール関係からは撤退しており、タイヤが有名ではあるものの微妙な知名度。
ハブに関しては、いい噂も聞かないが悪い噂も聞かないという至って普通のハブ。個人的には静かなラチェット音を再現でき、ハブの内部構造も堅実なため愛用しているが、もうモノは中古市場にしかない。

こんな感じで最初は話しながら走りました。前方に風よけの集団がいるとあまり疲れないため、話が進みます。最後に、遅かったら置いて行っても良いから、ゴールで会おうという話をしました。石畳・登り区間でどうやら千切ってしまったらしく、ここからは一人です。
ちょうどこの登り区間で近しい走力の人間が集団を組み、次のエイドに向かって走ります。この集団では、自分含めて前5人でローテーションをして走りました。前回のケルンのレースでも感じましたが、ローテーションを手伝ってくれない人は本当に手伝ってくれないので、もう諦めて引くしかありません。
フランスへダイナミック入国
そうこうしていると、ついにフランス国境を越えました。念のために今回のレースはパスポートを携帯して走りましたが、コントロールの心配はなかったようです。
スイスの道路事情とは少し変わり、街の雰囲気も変わり、若干のオシャレ感の増加が見られます。

第2エイドはスタートから90km地点とわずかばかりの距離のため、思っていたよりも早く着き、水や補給食はまだ十分ということで、スキップして第3エイドで補給することにします。
道中、スイスのジュネーブを通過しますが、街に近づくと尋常ではないほどの高さまで到達する噴水が見えてきます。一度近くに寄ってみてみたいものです。
街中では応援している人も多く、ジュネーブの街はなかなかに気分も上がります。その楽しさとは裏腹にここでは90度近いカーブが何回もあり、少し強めのパワーで踏まないとおいていかれるというトラップや、マンホールや突如現れる道路の穴など少し気を遣う場面が多かったです。
第3エイドに到着

第3エイドに到着。気温は約30度近くをマークしており、体力の消耗も顕著に表れてきました。
この時点で頭の中では早く帰りたいと思っていました。

ライスケーキ????美味しそう!!!
逃すまいとこれに飛びつきました。
ただ実は、もう頭が回っていないがために、おにぎり(ライスボール)と勘違いをしていました。仕方がないんです。
砂漠の中でオアシスを見つけたら実は蜃気楼みたいなやつだったのと同じ感じです。
食べてみた感想としては、コメのケーキだ。これに限ります。おにぎりではありません。なんかぐちょぐちょとした、砂糖とかを混ぜた何かです。確かにケーキではありますが、ここでやっと正気を戻すことができ、おにぎりではないことを悟ります。
そんなこんなで再スタート
残り40kmとなり、終わりが見えてきました。
ライスケーキのおかげで、少し思考もフレッシュになり、考えながら走ることができるようになりました。
ただ、自分がスタートしたタイミングが悪く、後方前方共に見える範囲で集団はなく、個人で進むことになります。ここで残された選択肢は後ろからの追い上げを待つか、自分が追い上げるかの二択です。
後ろに集団というよりは人がいなかった為、ここでは後者を選ぶことにしました。
休憩を挟んだというのもありますが、時速はさっきまでと打って変わり、25km/hです。
正直、このくらいのペースのほうが周りが見えるので楽しい。

ひたすら帰りたいと願いながら、35kmほど足を動かし続け、遂にラストのコースに突入します。
スピードは上がるものの、ケルンの市民レースの時のような加速ではなく、テンションが上がってあげるみたいな感じなため、最後の方はバテている人が多かったです。
やっとの思いでゴール

パリルーベ、ケルンに続いて、ゴールのポーズのダサさは健在です。
ここまでくると開き直ってきます、どのようなポーズが良いんでしょうかね。
さて、今回のリザルトは……

左から、実時刻、合計経過時間、ラップ、速度
合計5時間32分!!!
実走時間は5時間ということで、合計30分ほど休憩をしていたこととなります。
正直目標含めて、自分が一番びっくりしています。
遂には原付よりも早く目的地に着くのかと感慨深く、ゴールのエイドでバナ
ナを食べていたら、すぐに第1エイドで会ったぷろ豚さんが到着。
ビールが飲みたい!!!

このレースでは最後ゴール地点でビールと引き換えできるクーポンが最初に渡されているため、急いで引き換えに行くことに
ドイツのRund um Kölnではノンアルであったのに対して、しっかりとアルコールが入ってました。優秀です。ただ、少しぬるかったのは残念ではあるものの、ゴールの後の開放感にビールは至福です。
最後にもう一人の日本人の方とも奇跡的に会うことができ、無事に全員に会うことができました。何千人とも言える参加者の中、ここで会えたのは何かの縁ということで、またレース等でご一緒できればと思います。
帰りの電車まであと5時間
いや、長い!!!!!
当初の予定よりも5時間も早着し、2時間ほどビール片手に雑談したのにも関わらず、電車まで5時間もの待ち時間です。
ゆっくりと着替えても全然時間は有り余ってます。

もう諦めて、湖畔のベンチで時間を潰すことにします。
エイドの食料やコカコーラなどをもらってきて、ここで足のマッサージやらだらだらと過ごしました。
あれですかね、最近流行りのチルっていうやつですかね。

太陽の日差しは強いものの、このベンチは木陰にあるため、涼しかったのでかなり助かりました。正直、このスイス旅行?(旅行とはいえないと思うが)の中で一番観光している瞬間でもあった気がします。
帰路へ就く

チルった結果、割と時間が早くすぎるようの感じ、電車の出発時刻となりました。
今後のレース後の電車はもう少し計画性を持って予約しようと思いました。
さて、最後まで読んでくれてありがとうございました。
スイス観光で自転車というのも割と良いアプローチにも思えたので、今度時間があればポタリングでもしてみたいです。
Bis Dann!