暗闇に手を伸ばせ
ふと夜中に目を覚ますと暗闇の中にいる。
暗闇の中では何も見えない。
手探りでドアを探したり、電気のスイッチを探したりするが、予想している場所にモノがなかったりして、なかなか手こずる。
暗闇の中では手探り状態
しーんと静まり返った暗闇では、聴覚も効かない。出来ることは、暗闇に手を伸ばすことだけ。
手を伸ばして触れるものがあると、少し安心する。ひとつずつ触れて確かめると、それが何かわかってきて、現在地がなんとなく掴めたりする。
逆に、手を伸ばしても何にも触れることができないとすれば、それは恐怖だ。
伸ばした手は空を切るのみ。
それでは現在地も掴めないし、
進む方向さえわからない。
とにかく暗闇に手を伸ばせ
手に触れるものがあるまで振り回せ。
でないと足が一歩も前に進まない。
やがて、暗闇に目が慣れてくる。
「暗順応」と言うらしい。
徐々に目が慣れて、
30分ほどで暗順応は完了する。
たとえ真っ暗な闇の中でも、人は細胞を働かせ、
順応するようにできているのだ。
うっすらと見えた光の方へ
ゆっくりと進んで行くのみだ。