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第6話 水の平焼 / 赤海鼠釉珈琲カップ&ソーサー

昨年末の12月に、さとふるを通じてふるさと納税として熊本県天草市に寄付をしたわけだが。返礼品の「水の平焼 赤海鼠釉珈琲カップ&ソーサー」が到着した。

水の平焼を知ったのは、店舗は忘れてしまったものの無印良品のFOUND MUJIコーナーの一角だったように思う。光の当たり方によって奥行きが変わるような釉薬のテクスチャを纏う器が並んでいて、重厚さを感じる質感にも目を奪われた。

そのなかでも珈琲カップ&ソーサーにピンとくるものを感じて、あぁ、家でこれで珈琲を飲んだら旨そうだな。と感じたものだが、その日は別の用事があり荷物になるのを嫌ってまた今度でいいかと後にしてしまった。

ところがその後幾度となく無印良品内で水の平焼の商品は見かけたものの、欲しいと思った珈琲カップ&ソーサーの出品はなく(あるいは売り切れたか)残念に思っていたところ、たまたまふるさと納税の返礼品として出品されているのを見つけてしまったわけだ。

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今回出品されていたのは赤・青とあるうちの「赤」の方で、ぱっと見の発色はブラウンだが、覗き込むと実に複雑な月面を感じさせるような表情をしている。もちろん手作りのもののため、一点一点異なり同じものは一つとしてない。

この緻密な紋様は「海鼠釉」とよばれる釉薬によって生み出されるものだそうだが、色を変えるために別の釉薬を用意しているわけではなく、陶器に塗った場合には「青」に、磁器に塗った場合には「赤」になるというのだから不思議だ。

水の平焼伝統の模様、海鼠(なまこ)釉のコーヒーカップです。海鼠釉は、陶器だと青海鼠、磁器だと赤海鼠に色が変わります。

熊本県伝統工芸館
https://kumamoto-kougeikan.jp/shop/amakusatoujiki/mizunodairayaki/mizunodairayaki1.html

水の平焼は価値ある伝統工芸の一品だが、特別価格設定が高いわけでもなく庶民にも充分手の届く「ちょっと良いモノ」だが、工房は一つのため大量生産されているわけではなく、首都圏への流通はFOUND MUJI以外では今のところ目にしたことがない。

ふるさと納税の返礼品として頂けるのであれば、カップ&ソーサーのセットで実質の負担は二千円となるわけだから、嬉しいと思う反面少々もらいすぎなのではとも心配してしまう。

実際に手にしてみて一気に気に入ってしまったので、今度は青海鼠釉の商品にも手を伸ばしてみたいところだ。

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1765(昭和2)年創業、県内でも有数の老舗の窯元です。初代より海鼠釉(なまこゆう)を用いた生活雑器、花器、茶道具等を制作。
釉薬を二重掛けして発色させることで、色の複雑さと深みを出すことを特徴としています。天草の土を掘って生地にし、釉薬の原料となる土灰やワラ灰も自家製のものを使用。手間はかかりますが天草の風土に根ざしたものづくりを心掛けています。
伝統工芸とは、代々培われてきた技術・ものづくりの精神の継承のみならず、それらを発展させ、時代にシンクロする部分も併せ持つことで、時代を乗り越えまた次の時代へと続いていけるものだと考えます。今の時代のものづくりとは何かを考え、かたちとして表現していきたいです。

水の平焼

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Takehiko Ono
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