【詩】 めまい
手から傘が落ちて
体が地面に崩れ落ちた
雨がアスファルトと頬を打つ
水溜りにそこの店の看板が映ってる
頭の中の水が静かに脈を打つ
身体じゅうから力が抜けている
昔よく聞いてた曲が流れる
雨に濡れて街の灯がきれいだ
誰かが駆け寄ってきて何か言ってる
水をくぐったような声が降ってくる
ああこの人はやさしい人だ
とってもやさしい人だ
何か言おうと口を開きかけて
何を言おうとしたか忘れた
街の灯の向こうの暗い夜空に
いまなら落ちていけると思った
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