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【詩】 空を歩きたい

空を歩きたい
宙を踏んで
見えない階段を昇るみたいに
一歩ずつ空に昇っていくと
町の見晴らしがひらけてきて
遠くに山の稜線が空と接して
あおく霞んでいる
あおく霞んでいる、心の中には
からっぽの空があって
一歩一歩
見えない廊下を歩くみたいに
町と空の間を歩いて
いつしかさかさまになって
私は私が誰だか忘れている
雲の中に潜って
深く深く潜って
水深何百メートルの地の底であおい泥にまみれて
気がついたら真昼の昼日中の空を
なんにもないからさ
なんにもないからさって
からっぽのガラスの小瓶を持って
空を歩きたい
空を歩きたいよ
見えないアスファルトは陽にあたたまって
さかさまになって
私はあおい空に身を溶かしていく
なんにもないからさ
なんにもないからさって




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