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【詩】 お盆の上

暑い日差しの坂道をくだる
遅めの夏の、まだ白い脛
木の葉の緑、車の熱い屋根
花束のあとの濡れた輪ゴム

  まるいお盆のふちを歩いて
  ぐるりと回って戻ってくると
  壁掛け時計の時報が鳴って
  鳩が夕日へ飛び去っていった

低い窓の桟に肘をついて
うわごとばかり言っている
くたくたしたシャツの背中

  昼間お盆にこぼしたお茶が
  緑の海になって打ち寄せる
  浜辺にひとりでたたずむ背中





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