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観光で稼ぐ自活型DMOを目指す4つの地域経営的視点とは

雑誌ウェッジで「幻想の地方創生」という特集が掲載されており、たまたま新幹線の移動中に読む機会があった。

観光による「地方創生」を目指して全国に設置された「日本版DMO」に関する記事での

DMOが自主財源を持たず民間事業者や税に依存するようでは加盟組織や市民からの理解を得られなくなるだろう

というフレーズが実に的を得ているので、紹介しつつ、少し感想を書いてみたい。

地域経営的視点に立つ

地域経営的視点に立てば、観光客が来てかかるコストを、観光客が支払う観光消費とそれを通じて増える税収が上回らなければ、観光客が来れば来るほどに地域は疲弊していくのである。しかし、この非常にシンプルな原理原則は抜きに、結局はDMOも自活する仕組みではなく、税依存型の仕組みを目指してしまっている。観光税など税金が固定的に観光産業に入ったとして、それは地域にとって明るい未来を作ることにつながるのだろうか。

まず、ここで使われている「地域経営的視点」という表現を忘れてはならない。

なぜかというと、補助金や交付金を一定額確保しなければ(事業を実行する)原資がないため存続できないという固定観念は、対象となる範囲のみで事業内容を限定あるいは集約していく「補助金頼み」の悪循環に陥る現象を引き起こすからだ。

全国の各地域に設立された観光DMOの取り組みを見渡しても、どこか「金太郎飴」状態で面白味に欠ける。その地域で本当に必要ある課題あるいは目標が優先して計画に盛り込まれているかは「疑問」である。

そこに加盟する民間企業が不満を募らせる「吹き溜り」が生まれる。

観光DMOが取り組む事業内容が「意識の乖離」からベルトルの底上げがされず、結果として事業の成果を評価するに値しない「予算消化型」体質になるからだ。

「やっている」と「できている」は違う

ここで重要なのは、負担金は地元の宿泊施設事業者からすればネガティブな要素でもあるため、この資金を活用するDMOが高いパフォーマンスを生み出しているか、各事業者が厳しくチェックする仕組みがあることだ。DMOは各事業者に活動成果を説明するために、地域における訪問客数、訪問客による消費額、訪問客の属性・行動パターンなどのデータを整理し、事業評価レポートを細かく発表している。

多かれ少なかれ、自走能力がある民間企業は「意識の乖離」を埋める努力より自分たちで事業を行うのは当然のこと。背に腹は変えられないのだ。

いみじくも、ある地域の観光事業者が

観光コンサルティングなどが地域から社会実験やモニタリングやアンケート調査などをDMOから依頼されていたら要注意。受注するコンサルより発注するDMOの財務的な体質に問題があるだろう。報告も「やっているか」より「できているか」が理解できる姿勢になっているか。少なくとも「地域の課題を達成するにはどうしたらいいか」まで発注者が論じているかどうかだ。

と発言されたのを記憶している。

観光で稼ぐ自活型DMOを目指せ

私は、静岡県浜松市で観光事業をしている民間企業の経営者である。

数年前に「浜松・浜名湖観光ツーリズムビューロー」が「浜名湖観光圏」の母体としてDMO設立を経験した際に「観光で幅広く稼ぐプラットフォーム」を目指す必要性を説いたが、数年経過したいま、現実は難しいと実感している。

苦言とは「言われた側では痛いところをつかれて快くないが、ためになる忠告」である。

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