透明人間化する自己ー抑うつの入り口
抑うつや極端な無気力、無感動は個人の生活や人間関係に支障をきたし、それを自認せざるを得なくなる決定的な契機を迎えるよりも前に、意識の水面下で穏やかに自己が無力化される段階を進行させる。
この段階では、自己がその内面、感情、主体性といった人間的要素を内部的に喪失し、他者にとっての自己、他者に期待される自己といった機能的な側面が代わりに自己を代表する。ここでは、「自己愛と自尊心の違い」で説明したような二種類の自己になぞらえて考えると、「私は存在している」という存在論的な自己と、