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冬の向こう

暖かい街

寒波が来てる。
東京も雪かもしれないなんて報道も。

ニューヨークやらベルリンやらの寒波の報道写真を見るといつも驚いてしまう自分がいる。都市がこんなに?と感じてしまう。
世界的都市でも日本の東京は南の方に位置しているんだなぁってわかっているはずなのに、もう一度驚いてしまう。緯度が北海道ぐらいが普通なんだもの。
日本には四季があるし冬は寒いけれど。
もっと寒い国々で文明開化が起きたんだなあ。

寒い寒いと言いながら背中を丸めて。
広い視点だと暖かい街なのかぁと白い息を眺める。

死の冬

木々の葉が落ち、動物たちは眠る。
冬は死の季節だ。
猟も畑も出来ない季節。
人間は火で暖をとり、発酵や貯蔵で食べ物を確保した。
日本は海があったけれど。内陸の国々はそうやって生きてきた。

創意工夫で生きてきた。

あるものは干し、あるものは塩に漬け、あるものは薪を割る。
不便が創造していった。
それはまるで虐げられた者たちが音楽を生み出したかのようだ。
それはまるでコンプレックスが表現を生み出したかのようだ。

そこだけの何か

まぁルネッサンスみたいな貴族文化もある。
文化というのは生活から生まれるのだからどんな階層からだって生まれてくるわけで、日本の文化が花開いた元禄時代はそこまで貧しい時代ではなかった。
ただそこだけの何かがあるってだけの話だ。
冬の厳しさの中だけにある何か。そういうものだ。

暖かい街だ。東京近郊は。
そこに何があるだろう。
ここから何が生まれるだろう。
なんだってある。もちろん貧困だってある。他にも。
とは言え諸外国ほどの巨大なスラムは存在していない街。

それでも何かがここにある。
ここだけの何か。
心が軋んでいるような。
あるいはもっとずっとシラケた何か。
空虚な何か。
だから今日も新しい表現が生まれ続けている。

祭まで

映画「演者」の公開は花見の季節だ。
僕の頭の中で公開までという言葉がいつの間にか祭までに変換されてしまうのは冬だからだろうか。
春の種まき、夏の盆、秋の収穫。
お祭りはまるで目標みたいだ。
お祭りまで頑張るぞと、気合を入れてしまう。
そういえば舞台公演も春と秋が多かった。

僕にとっては祭なんだろうな。
でも祭りは僕一人だけじゃ成立しない。
皆が楽しんでくれるようにしなくちゃお祭りにならない。
そうなるといいなぁ。

準備をしよう。
祭りの準備だ。

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小野寺隆一
投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。