本日の焼き魚定食
高級素材の味を引き出す調理人と。
余り物なんかでも旨いものを創る調理人と。
どちらが優れた調理人なのだろう?
なんかハムが入った焼き飯なのにやけに美味いの創るとかの方が僕としては凄いんじゃないんだろうかと思うのだけれども。
それに高級素材って変わるんだよなぁというイメージがある。
今はお高いノドグロも、昔はアカムツなんて呼ばれていて開きなんかはそこまで高かったイメージがない。キンメの開きぐらいのイメージだった。
スジコとかも全然安かったよなぁって思う。
昔からずっと高級なものもあるけれど、結局は需要と供給のバランスとブランド化で高級は決まる。
それこそハラミなんて、横隔膜で赤身で昔はそれほど人気じゃなかったと思うのだけれど、今では高級になっている。
あとここ10年ぐらいで鮮度というのも変化している感じがある。
エイジングだなんだと、熟成という言葉がどんどん流行りだした。
肉も魚も野菜も、熟成させることでうまみが増えるのだそうだ。
タイもマグロも鮮度よりも熟成方法だとか、いつの間にかだ。
なんか、そういうのって流行なのかな。
そうなるとトレンドを追える人がすごい調理人みたいになったりするのだろうか。まぁ素材の味を引き出せるというのはすごい技術だけれど。
時流に乗るというのは、それだけで重要な要素なのだろうと思う。
それはたぶんどの世界でも同じことなんだろうなぁ。
演劇だって歴史を紐解けば、その時代その時代の演技方法がある。
未だに舞台の演技っていう大きな枠で話す人もいるけれど、どの時代の?っていう見方も持っていないと、全然違ってるよそれ、みたいなことになる。
そういう意味ではさ。
なんか、この人が創る食いもんはうめぇなぁな人。
その時流とか関係ない人ってのが実はやっぱ一番なんじゃなかろうか。
流行の店じゃなくて、老舗の店みたいな。
なんか悩んだらあそこでいいかみたいな定食屋。
行列はないけど、行くとなんとなく席が埋まってるような店。
けれど誰もオススメなんかでは出さないような店。
前によく行っていた定食屋があったのです。
今はもうないのだけれど。
大抵、本日の焼き魚定食をお願いしていたのだけれど。
とっても安定していたんだよなぁ。
鮭だったり鯖だったり鰯だったり、魚は変わるんだけれど。
ごはん、漬物、小鉢、みそ汁、焼き魚。
あれはなんだろう。塩の加減なのか、焼き具合なのか。仕入れなのか。
それとも副菜のバランスだったんだろうか。
まぁ、当時でも安くて420円とかその辺だったから高級なわけがない。
お米もコシヒカリとかササニシキじゃないと思うんだけれども。
いつもお客様がいたけど、老夫婦の経営だったから隠居したんだろう。
すげー美味い!とかじゃなく、でもいつも満足していた。
誰にも伝えていないんだろうなあ。
あのおじいさんの焼き加減の秘訣とか。
誰かから天才とか呼ばれたこともないんだろうなぁ。
そういう気付かれない才能こそ出会いたいなぁと思う派。
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