不在の在
お別れをしてきた。
さよなら。
ありがとう。
人間なら90歳近い。
心の準備もさせてくれた。
僕を待ってくれたと母は言った。
仕方がないのだとわかっている。
部屋が広くなってた。
君が日向ぼっこしたキャットタワーもなくなって。
僕にとっては難敵だった君のトイレもなくなって。
不在の在。
ないからこそ、あるを感じるよ。
なんとも言えぬ脱力感。寂寥感。
最近は少し苦しそうだったけれど。
今日はなんだかすっかり眠っている感じだった。
呼んだらいつもみたいに目を開けて応えるかと思ったよ。
頭の良い君はいつもちゃんと返事をしたものだから。
気付いたら朝だ。
作業に没頭していた。
まだしばらくはこの寂しさに慣れそうもないよ。
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