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名古屋上映決定

あれから

東日本大震災からちょうど12年。
十三回忌法要の日だ。
歳の巡りで干支を一巡したことになる。
あの日、あの頃から、何かが始まった。

十三回忌なんて仏教の考え方で様々な被害者の方がいるから関係ないかもしれない。まして十三回忌を過ぎると一段落という感覚がどこかにあって。実際、そんな段落もなく今もその延長戦に多くの人が生きているわけで。

大事なことは、今をどう生きるかだけどさ。
やっぱり「あれから」という今になる。

過去

映画の登場人物は大抵、過去に事情を持つ。
トラウマであったり失恋や死別や悲劇であったりする。
「あれから」の先に生きる人たちだ。

でもそれは映画の登場人物だけじゃない。
僕たちは皆、大人になるといつか「あれから」になる。
過去を抱えて生きることになる。
忘れられない傷を抱えて生きることになる。
誰もがそんな「あれから」に共感する。

今を生きるには、今の日常が流れていて。
生活という現実は否応なく毎日を押し流していく。
それでも心に残った棘は生活の中でもそこにあり続ける。
歳を重ねるということはそういうことなのかもしれないけれど。
時にはこらえきれないようなものまで僕たちは抱える。

これから

今の生活の中に埋没しそうなとき。
僕は「あれから」を生きていると考えないようにする。
「これから」どう生きるんだよ、お前はと自分に言う。
どうしょうもなく心が潰されるような夜もあるけれど。

多分、僕が生きていく中で「あれから」が少し早く来た。
あの日から僕の人生は「あれから」になった。
だからなのかもしれない。
強く、意識的に「これから」を考えるようになったのは。

ビジョン

自分なりにどう進んでいくのかビジョンを持たないといけない。
自主配給を目指す以上、様々な困難がある。
それでもその道を自分で想定して実行していくしかない。

三大都市にはミニシアターがそれぞれいくつかある。
そのすべてに連絡をしようともちろん思っているけれど。
義理をかいちゃあしめえだよと寅次郎が言っているようにさ。
まずは以前、お世話になった映画館から連絡するようにしている。
もちろん上映を断られたとしても仕方がないほどの小さい映画だ。
それならそれで、そこから別の映画館に声を拡げていけばいい。

名古屋シネマテーク。
セブンガールズでお世話になったミニシアター。
映画館のHPに掲載されてから発表しようかとも考えていた。
映画館から告知開始してくださいと連絡が来た。
それで今日、発表することが出来た。

名古屋上映

2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)
3日間、全日程10時~
名古屋シネマテークにて映画『演者』上映が発表となった。
初日の15日は舞台挨拶にも向かう予定だ。

特殊な日程なのはあるイベントの中に組み込まれているから。
編成に色々と苦労されているのだと思う。
HPに掲載するのが遅れてしまうといけないからと告知を先にということになったのだろう。

確かに機会は少なく、朝一番という時間でもあるけれど。
東海地区からの上映希望の声は届いていたわけで。
決定したことが何よりも嬉しい。
時間帯的に厳しい方もいらっしゃるのかもしれない。
そう思うと心苦しくもあるけれどさ。
でもここを足掛かりに東海地区でも上映を更に重ねていけたら。

そして、これから

これから始まることが少しずつ見えてきたと思う。
そりゃあ、新宿が終わるまで待ってさ。
小出しに発表した方が良いのかもしれない。
実際に遠征して観に来てくださった方も今までいらっしゃった。
でもそれじゃあいけないと僕は考えた。
目先の動員を考えていたらビジョンも何もない。

まぁ、その目先の動員が未来を決めていくのだと考えれば。
なんというかそんなこと言ってる場合か!と言われそうだけど。

でもさでもさ。
僕たちは終わったのかな?
もう若くない。
あの頃、芝居を始めた頃とは変わった。
劇団まで解散した。
芝居をするって言ったって機会がそれほどあるわけじゃない。
もしかしたら、これが最後かもしれない。
この先は「あれから」だけかもしれない。

そう考えると思うよ。そう考えがちだよ。
そしてそれが間違っているわけでもない。正しい。
僕が抗っているだけなのかもしれない。
それでも僕は「これから」を見たいよ。
何かを起こす、何かが起きる「これから」。

また来るといつか誓った名古屋シネマテーク。
あの日の「これから」に僕は立っている。

そしてたくさんの皆様と僕は「これから」を共有する。
僕一人の「これから」じゃない。
時には「あれから」を振り返るさ。わかってる。
それでも。
前に進んでいきたいと僕は願っている。

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小野寺隆一
投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。