火に包まれても燃えない本のこと
最近、縁があってコントの台本を書いてみたけど、むずっ!て声がもれた。書きあがると実にあっさりしてて。お笑いではない別の芸能スキルを持つ方にあわせたものだがら、トンデモ設定に新奇性はある。が……あとは神のみぞしる。コメディ作ってる人の脳みそどうなってるんだろう。
世界でもトンデモなものを作った人がいる。
The Unburnable Book=燃えない本
燃えない本とはどういうことだろうか。
作者のマーガレット・アトウッドさん自身がそれを検証するために火炎放射器から火を放つ。そして火に包まれるも、本は燃えることがない。
なぜこんな一冊を作ったのか。記事中には自著が、今年、発禁本になったことへの抗議だと説明がある。書影には『 The Handmaid's Tale』とあるので、日本語訳では『侍女の物語』として1985年に刊行された一冊だ。1990年に新潮文庫から刊行され、2001年に早川書房から文庫、2020年には続編『誓願』も。映画化だけでなく2017年にはHuluでドラマ化もされている、間違いない人気作だ。
アメリカでは、しばしば発禁本に関するニュース聞かれる。発禁本で有名なのが『ライ麦畑で捕まえて』だけど、発禁本になった理由はFワードが本文中に出てくるから、暴力的だからとか。NY図書館でも、特別期間中にのみ貸し出しがされるというニュースも目にした。こっちじゃヘイト本や陰謀論ジャンルだっておかまいなしなのに?と、思わず言葉がもれるが、お国が違えば、文化も違う。
本が大量に燃やされることに胸を痛めさえ、快楽を覚える人はいないだろうけど(いるのかな)アメリカの発禁本に対する考えは過去のものではなく、現在進行形のもとにあるとわかる。これだけの人気作、今年になってアメリカで発禁本扱いになるとは、作者からしたらたまったもんじゃないだろう。
しかし、なんというか作者のマーガレット・アトウッドさんのアート性、というか反骨精神というか意地というか……一種の憧れや尊敬の念を抱いてしまう。wikiによると「フューチャー・ライブラリー・プロジェクト」でおさめた小説は、2114年に出版さえまで読むことができないというし、過去にはメディアで舌戦を繰り広げたともある。
やはり、火炎放射器を握るたたずまいがただ者でない。燃えない本はすでに1700万円と決して安くはない金額で落札されていることが、発禁本に対する関心度の高さにもつながるのではないかな。耐火材量に印刷した、とあるが、実際いくらでどう作ったものなのかも本好きとしてはちょっと気になる。
彼女の本、読んでみよう。(Amazonレビューに『侍女の物語』女性必読のディストピア小説!などとある、、こういうの読むと、あっさり踊らされる読者なので、怒りやら忍耐やらで、カッカしちゃいそうだな~)
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