代理肉は、肉消費を変えるか?アメリカで上場した日本企業ネクストミーツを調べてみた
最近、世界的に牛や豚などの畜産産業の肉に変わり、植物由来のタンパク質で作られた代替肉の市場が伸びております。
そんな中、代替肉を製造する企業の中で伸びているスタートアップ企業がネクストミーツです。今回はネクストミーツがどのように成長してきたのかを分析していきます。
ネクストミーツとは?
ネクストミーツは、2020年にクラウドファンドで資金調達を成功させて以来、7種類の代替肉を開発・提供しています。
代替肉市場が大手の食品企業や外食企業が多い中、最近立ち上がった新興企業でもあります。
そもそもなぜ代替肉が必要なのか?
そもそもなぜ、代替肉が人気なのかというと以下の3つの理由が主にあります。
①肉消費による環境負担を下げるため
②人口増加による食料不足への対応
③健康需要の高まり
①肉消費による環境負担を下げるため
SDGsという持続可能な開発目標が国際社会で設定され、その中でも環境問題は重要なトピックの一つであります。
(https://salad.co.jp/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/sustainablelifestyle/)
環境問題で注目されているのは、家畜が排出する温室効果ガスの量が増加している点です。
家畜が排出する温室効果ガスは、温室効果ガス全体の18%にも及ぶと言われており、地球上の全ての交通手段が排出する温室効果ガスと同じ量を排出していると問題視されています。家畜が与える環境負荷を軽減する方法として代替肉は注目されています。
②人口増加による食料不足への対応
世界的な人口増加により肉の消費量が増えています。2020年現在の世界人口は78億人になりますが、2050年には世界人口は96億人を超え、食品生産量は61%増加すると言われています。そのため、需要が増加し将来的には食糧不足になると危惧されています。
③健康需要の高まり
代替肉は、大豆などの植物由来のタンパク質を原材料として使用していることから低カロリー、低コレステロールで食物繊維が豊富です。そのため、ダイエット中の女性や筋トレをしている男性などからも人気があります。
これらの背景から代替肉の需要が高まっており、今後確実に代替肉による肉の代替が拡大すると言われています。
ネクストミーツはこれまでどのように拡大したのか?
ネクストミーツのこれまでの動きを調べていくと、
・クラウドファンドによる資金とサポーターの獲得
・全国展開する外食チェーン店とのコラボによる販路拡大
・小売店への提携し、販路の拡大
といった動きをしてきました。そこから見えてきた成長要因は2つになります。
成長ポイント①SPACによる早期上場・資金調達の成功
まず1つ目は、SPACという仕組みを活用したアメリカ市場での上場を成功させ、成長資金の獲得ができた点です。
通常の企業が上場するためには、IPOするための厳しい審査を通過する必要があり、審査の時間やお金もかかるため、立ち上げ初期のスタートアップが上場することは難しいです。
そこで、他社事業の買収を目的としたSPACを立ち上げ、元の事業を買収するという方法で上場を狙います。
SPACの仕組みを使えば、SPAC自体は、事業がシンプルなため、比較的簡単にIPOが可能です。そして、IPO後に元の事業を買収することで、元会社を実質上場企業にすることができます。
この仕組みを活用することでネクストミートは、成長に必要な資金を獲得することができ、海外市場をターゲットとした活動に資金を回すことが可能になりました。
成長ポイント②:企業コラボによる販路の拡大
環境問題への関心の高まりも相まって、企業が提供する食品が環境に与える問題に対して、その企業がどのように対応しているのかは、その企業の投資家や消費者からの注目度も高まっています。
そのようなトレンドも相まって、自社で代替肉の開発が困難な外食企業や小売店などが代替肉を提供するスタートアップや大手とのコラボ事例が増加しています。
これからどう拡大するのか?
ネクストミーツのビジネスモデルは、EC企業と同じようなビジネスモデルになります。そのため、売上を伸ばしていくためには、いかに顧客数と顧客単価、購入頻度を伸ばしていくかが重要になります。
■クラウドファンドを活用した継続的な新カテゴリーの開発・販売
まず1つ目は、購入型のクラウドファンドを活用した新規カテゴリーの開発と販売のよる新規顧客の獲得と購入点数が増えることでの顧客単価の向上サイクルを目指す施策です。
現状、代替肉のターゲットは新しいもの好きや健康意識が特に高い層など特定の層に絞られると思います。そういった特定の層から一般層に拡大していくことを狙うため、クラウドファンドを活用した方法を考えました。
■販路拡大のために、ジムやスポーツ店、老人ホームなどでの販売を狙う
健康によく、タンパク質豊富な代替肉の強みを活かし、健康意識の高い顧客層を持っている企業の代理店化、販売連携を狙います。
また、植物性の肉のため、通常の肉と異なりコレステロールを抑えることができます。そのため、通常のお肉が食べられない高齢者をターゲットに老人施設での販路拡大なども狙います。
まとめ
今後確実に成長すると言われる代替肉市場。その中で企業が成長していくポイントとしては、
①一般層が手にしやすい価格帯まで製造コストを下げる
②販路を拡大し、身近な場所でも買えるようにする
③①と②を実行するための資金をいかに獲得するか
かなと思いました。
代替肉市場自体は、まだまだ成長途中だと思うので、
今後どのようなプレイヤーが生まれ、競合の中で勝ち残っていくかは注目です。