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後発のファミリーマートが成長できたわけとは?#マーケティングトレース(前半)

今回は、業界3位のコンビニ「ファミリーマート」をマーケティングトレースしていきます。前編・後編に分かれていて、前編ではこれまでどのようにファミリマートが成長してきたかをトレースします。後半ではどのように今後伸ばすかを深ぼっていきます。

【基本情報】
・ファミリーマートは現在、国内16,663店舗、海外8,256店舗を展開しており、コンビニエンスストア業界では業界3位に位置付けられる。
・コーポレートメッセージは、「あなたと、コンビに、ファミリーマート」。価値観は「地域に寄り添う」「お客様一人ひとりに」「家族のように」
・もともとは西友の子会社で、現在は伊藤忠商事の子会社に(上場廃止へ)

また、最近では社長が変わり変化のタイミングでもあります。

今後どのように成長するのか、後発のファミリマートがどのように売上を伸ばしてきたのかを含めてトレースしていきましょう。

月次決算報告 

2021年の月次決算報告をみたところ、

・2020/03~08間の中間決算報告では、107億円の赤字
・既存店の売上は、緊急事態宣言化の4月~5月では、前年比の8割ほどに落ち込み、客数の落ち込みは2~3割減だった(客単価は前年比以上を叩き出す)
・店舗ごとの平均日商(一日の売上)は49.3万円で前年よりも4.1万円減
・現在では、店舗の売上は前年の95%ほどに回復しており、新型コロナウィルスに慣れて客数が戻りつつあることがわかる。

コロナ禍で外出自粛により、客数が減るのは避けようがないので、客単価を上げるような施策をどのように行ったかが気になりますね。

マーケティングトレース分析


ここからは、コンビニ業界の市場の整理や競合の整理を行っていきます。
ターゲット分析は、特定のターゲットがおらず全年齢が対象になりうるので、今回は省いております。

■PEST分析(環境分析)

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今後の環境変化としておさえておくべき点は、

①少子高齢化による国内市場の縮小に対して、サービス・商品を充実させて単価を上げるのか・海外市場を獲得していくか。どのような対策を取るのか
②①に伴う人手不足に対して、省人化をどのようにすすめるか(設備投資が必要そうな分野)
③Iot・5G・自動運転時代において、運送コストが下がった場合、Amazonのような巨大EC小売企業とどのように差別化していくか。また、UbrtEatsなどの新興企業とどのように差別化していくか。

などかと。

■競合分析

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競合としては、大手コンビニがまず上がります。サークルKサンクスとの経営統合により、ローソンを超えて、業界2位の店舗数です。

マーケティングトレース思考補助ツール_ファミリーマート

(http://www.garbagenews.net/archives/2392411.html)

他には、最近伸びているデリバリー系の企業です。
最近、コンビニのお弁当を買うよりも、UberEatsや出前館などでお弁当・中食を頼む人が増えたと思います。こういったコンビニが満たしてきた消費者のニーズに代替する選択肢が増えてきました

(ちなみにセブンイレブンでは、デリバリー・大手ECを意識してか、商品お届けサービスを始めています)

■4P(マーケティング・ミックス)

マーケティングトレース思考補助ツール_ファミリーマート

プロダクトに関しては最近では、自社ブランドで出しているスイーツやコーヒー、惣菜などの商品開発力が伸びている印象があります。

・スイーツキャンペーン(女性顧客層の獲得・SNSキャンペーンでの拡散)

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・ファミチキを活かした新しい品揃え(ファミチキの単価UP

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・稲垣さんを起用したコーヒーの甘さを強調したCM(競合との差別化)

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・最近、品質・品数ともに強化している「お母さん食堂」による中食・惣菜市場の獲得

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## 成功要因

成功要因①エリア・フランチャイズ・システム

後発のファミリーマートが店舗数を伸ばせた背景には、エリアフランチャイザーというフランチャイズ形式の違いにあります。

通常のフランチャイズでは、本社がフランチャイズ加盟店を管理するのに対して、エリアフランチャイザーでは、国内や海外の特定地域(エリア)ごとにフランチャイズ本部として店舗展開を行う権利を別法人に譲渡します。結果、地域に密着した出店・商品開発などをスピーディーにしています。

この形式をとったため、本社の投資コストを抑えながら店舗数を伸ばすことができました。

成功要因②買収による店舗数拡大

ファミリーマートは、競合他社の買収による成長を繰り返してきました。

・am/pm買収(2011年)
・ココストア買収(2016年)
・サークルKサンクスとの経営統合(2018年)
・伊藤忠商事の子会社化(2021年)

その背景には、コンビニというビジネスにおいて競争していくためには、ある程度の企業規模や体力が必要だからです。

たとえば、
・原料調達においては、注文のロット数が多ければ、原価を抑えることができ、競合に価格で差をつけられにくくなる
・業界No.1で資金・資本の大きいセブンイレブンとの差を埋めるためには、それと同じくらいの資本力や資金、商品開発力が必要。
・コンビニのATM設置や電子決済対応、郵便対応など様々なサービス拡充に伴い、中小コンビニではコストの負担が困難になること。
などです。

(ちなみに、業界No.1のセブンイレブンは米国のコンビニ企業を買収しているものの、国内コンビニは買収しておりません。)

度重なる買収と統合により企業規模と店舗数を伸ばし、サークルKサンクスとの経営統合後は、業界2位のローソンを店舗数で抜くまでに成長しました。

成功要因③中食・惣菜市場の強化

新型コロナウィルスによる外出自粛に伴い家庭での時間が増えたことや共働き世代が増え、家事にかけられる時間が減っていることなどから、惣菜市場(中食市場)が伸びています。(2019年では10兆円規模に成長し、10年連続成長)

その市場変化に注目して、ファミリーマートでは、2017年から「お母さん食堂」を展開し、設備投資なども行いつつ強化してまいりました。

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【品数】
・惣菜:150種
・日配・生鮮品:81種類
・冷凍食品:66種類
【単価】
100円~600円

また、2020年度には、食品ロス(廃棄)の問題に対して20億円の投資をしており、既存の惣菜の保存期間を3日伸ばす技術の開発(ガス置換包装)や季節商品の完全予約制(ケーキ、うなぎ、恵方巻など)に変更することで食品ロスを減らしています。

結果、食品ロスが減り、店舗の営業利益を伸ばす狙いです。また、「お母さん食堂」により、これまでスーパーで使っていた顧客のお金をファミリーマートにまわしてもらい、顧客単価のUPにもつながっていそうです。

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次回後半予告

次回では、ファミリーマートを更に伸ばすにはどんな施策を行うべきか(マーケティングCMO仮説)を以下の点も深堀りながら考えていきたいと思います。

■論点になりそうなこと
・海外市場をどのように攻めるか
・Amazonなどの便利EC小売企業と将来的にどのように競争するか
・商品開発の流れや体制について
・コスト低減について(無人店舗・キャッシュレス・デジタル化・ファミペイetc..)

などを深堀りたいです。



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