おひとりさまの休日
このコロナ禍人混みにも行けず、なんとなく「ひとりで遠足っぽい事でもしてみっか!」と思い立った休日。
いつもなら1人で出かけても、カフェとかお店で済ますランチだけど、「遠足」という単語を出してしまったため「遠足といえば、お弁当も持って行かねば!」という、どうも形から入りたがる性分が、思いつきからものの数秒で顔を出した。
急ぎ出る準備に取り掛かる。
おにぎり作って、簡単なおかずをお弁当箱に詰めて…と作業しながらふと、「あー、今私、毎日の仕事に持っていく以外で、本当に自分1人の遠足のためだけにお弁当なんか作っちゃってるなぁ…」と、少し可笑しくなってくる。
そしてそんな準備をしながら益々お昼がワクワクと待ち遠しくなる自分が居た。1人のくせに。
出発して、なんとなく決めた遠足コースのスタート地点への電車移動の最中も、小さい頃の遠足気分を少し思い出したり、また周りを見回したら自分だけ遠足ルックなので、他の人はおそらく買い物や諸事情の移動なのに「私だけなんか凄い楽しい冒険してる⁉︎」と、いい歳ながら気持ちも童心に返ってみたり、ソワソワしたり…
完全に電車内で挙動不審だっただろう。
その、なんとなく決めた遠足コース、歩いてる最中、リュックの底に詰めたお弁当が何故か本当に嬉しくて、たまに後ろ手にリュックの外側から弁当箱の輪郭を確認しながら歩いていく。
お昼すぎ、丁度良いベンチを見つけお弁当を取り出し食べると、本当になんとも言えない気持ちが込み上げてきた。
泣きそう…とも違うし、決してひとりが寂しいと言うわけでもなく。
なんだろう…、もう小さい頃のように学校などから決められたような遠足じゃなく、
自分でルートを決めて、
自分のためにお弁当を作って
自分のペースで歩ける私になったのだなぁ…
というような思いが、しみじみ湧いていたのかもしれない。
そんな不思議な感覚を覚えた、ある日の天気の良い休日のお話。