
Photo by
voice_watanabe
準備不足【心に残る上司の言葉】
今の会社に入って、ある先輩の下についた。
先輩は頭の回転が速い人で、憧れの人だった。
ある日のこと。
得意先へ同行しながら、OJTを受けることに。
仕事を甘くみていた私は、「先輩について行けばいいや」くらいの気持ち。
先輩の仕事を見て学んでこようとは思っていたものの、
自分にできる準備は全くしていかなかった。
得意先での仕事中に
「あ、この件って、どうなってるっけ?」
まったく予想外に質問された。
「・・・すみません。わかりません・・・」
何も準備をしていないから、答えられる訳もなく。
「ポストイットもってきた??」
あったのは、自分の手帳に貼ってあった、小さなものだけ・・・
気持ちや知識の準備ではなく、物理的な準備もしていなかった。
帰りのタクシーの中で、先輩から一言だけ
「準備不足・・・」
それだけ。
あとは、黙ってしまっている。
怒っているのか?
呆れているのか?
私の頭の中は、負の感情ばかりがグルグル回っていた。
宿泊を伴う出張だったので、夜は一緒に飲みに出かけた。
仕事のことは何も言われず。
普段と変わらない先輩と飲んで帰った。
心は負の感情のまま。
つぎの日から、情報・知識、そしてポストイットやメモなど
得意先に行くときには、想像力を働かせて
何が必要なのか?を頭の中でシミュレーションをした。
何があっても大丈夫なように準備をしていった。
いつしか、想像して準備をすることが自分の当たり前になった。
準備をして、荷物も多くなった私は、
その後何度も先輩のOJTを受けることがあった。
「お前と得意先にいくと楽でいいね。準備万端だから」
うれしかった。
あの日、準備不足と言われたから。
自分の行動を変えることができたんです。
心の中では、そんな言葉が浮かんできた。
「ありがとうございます」
お礼だけを伝えた。