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理解されない
駅で誰かが喚いている。
自分の存在を返してくれと繰り返している。
改札で誰かが呟いている。
わたくしめは全てを知っているのです、皆がそれに気づいていないだけ。
線路の上で誰かが血を流している。
もうこんな所には一秒もいたくない。
と思っている、生まれた時から私たちは一人で歩くことを教えられてきた、そうだなあれはいつだったかキュウキュウなる靴を履かされてそれを鳴らしながらスーパーの磨かれた不潔な床を歩いていた時のことかしら、あの時はすべてがケーキの陳列されたショーケースみたいですごいなと思っていた叶うものはなんでも叶うものだとばかり平等だとばかり、行く道の先にはなにもなくて、でもなにもないからなんでもあると思い込んでいた私
は今布団に寝転がりそばに誰もいなく文字を打っているこの悲しさはどこから来るのかな、満ち引きのリズムでやってくるそれに足を取られないようにとろろのように吸われないように立つのがせいいっぱい、暗いところで喚いても誰も手を差し伸べてはくれない体裁を整えないと、文字にしないと伝えないと体系化しないと共通項にしないと誰が見てもわかるようにしないと触れてすぐ形の確かめられる簡単だけどつまらないものにしないといけなかった、それを怠ってきたの
だ、から私はいつだって一人、死ぬときは皆一人なんだよってそんなの納得出来るはずがないだってみんな仲がいい、友達が多いことが素晴らしいことに異議を唱えたくて生きているけど友達が多いことは絶対に強い、それだけ肉が用意できるということ暖めあえるということ、もう体は微妙に冷えているので近づこうとしたのだけど何も言えないままあの人もあいつも好きだったやつもそっぽを向いている自分にはなにも、ないなんて嘘だ、本当は認めてほしいだけ価値のある人間だと知って欲しいだけ、
そんな日でも電車はくる、それを生肉挟んで止めたいと思うのは馬鹿?