今日の安全意識を高めるヒント: 職長教育の必要性とその役割について
職場において「職長」とは、現場のリーダーとして、作業員を直接指導・監督する立場にある人を指します。職長は、労働者の安全を守り、作業を効率的かつ適切に進める責任を担う重要な存在です。
職長は作業の進行を管理するだけでなく、作業員一人ひとりの安全確保、リスク管理、問題発生時の迅速な対応など、多岐にわたる役割を果たします。職長が果たす役割が適切に機能しなければ、職場全体の安全性や作業効率に大きな影響を及ぼすため、職長教育の実施は極めて重要です。
1. 職長教育の必要性
職長教育は、作業員を直接指導・監督する立場の人が、職場での労働災害を防ぐために必要な知識や技能を習得するための教育です。具体的には、労働安全衛生法に基づき、職長が労働者に対して適切な指導を行うために必要な教育が定められています。この教育を通じて、職長は労働者の作業環境を改善する方法、安全衛生管理の基本、労働者のモチベーション向上に関する指導方法などを学びます。
2. 職長教育を受ける対象者
職長教育を受けるべき対象者は、工場や建設現場などで作業員を直接指導・監督する立場にある人です。具体的には、新たに職長として任命された方や、作業員の安全管理に関わる業務を担当する方が該当します。
職長等とは、「作業中の労働者を直接指導又は監督する者」
また、職長教育の対象となる業種は労働安全衛生法に基づき特定されています。
対象業種は、
建設業
製造業(ただし、以下の業種は除く)
繊維工業(紡績業及び染色整理業を除く)
衣服その他の繊維製造業
紙加工品製造業(セロファン製造業を除く)
電気業
ガス業
自動車整備業
機械修理業
但し、従来除外されていた製造業のうちの以下の業種については、2023年(令和5年)4月1日からは義務となっていますので注意が必要です。
食料品製造業(うま味調味料製造業及び動植物油脂製造業を除く)
新聞業
出版業
製本業および印刷物加工業
なお、従業員数が少ない企業でも、上記の業種に該当すれば職長等教育は義務なのでご注意ください。
※ 職長教育は、職場の安全知識の基礎となる大変優れた教育です。
法で定められた業種以外も積極的に受講し、職場の安全文化の向上を目指してください。
中央労働災害防止協会が実施している職長教育講師の育成ためのトレーナー講座(RSTトレーナー)の受講もお勧めです。
3. 職長教育の具体的な内容
職長等安全衛生教育の内容は、労働安全衛生規則第40条で12時間のカリキュラムが定められてます。
作業方法の決定及び労働者の配置に関すること
労働者に対する指導又は監督の方法に関すること
危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずるべき措置に関すること
異常時等における措置に関すること
その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関することと
4. 職長教育を受ける法的義務
労働安全衛生法第60条
事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。
労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。
前二号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるもの
まとめ
職長教育は、職場での安全と労働者の健康を守るための重要な施策です。職長が適切な教育を受けることで、職場全体の安全管理が強化され、労働災害を未然に防ぐことができます。すべての職場で安全を維持するために、法定の職長教育を受けることを徹底し、日常の業務での実践を心がけましょう。
2024.11.16