今日の安全意識を高めるヒント: コロナ禍が安全活動に与えた影響とその克服方
コロナ禍をきっかけに、多くの企業や現場で安全活動が制限されました。その結果、KY(危険予知)活動や指差し呼称など、安全を支える基本的な取り組みが形骸化してしまった職場も少なくありません。対面での話し合いや声出しを伴う活動が制限されたことが、安全意識の低下や事故防止の力の弱体化につながっていると感じられます。
ここでは、コロナ禍がもたらした安全活動の課題を振り返り、それを克服するための具体的な方法を一緒に考えましょう。
1. KY活動の形骸化を防ぐには
KY活動(危険予知活動)は、全員で現場のリスクを分析し、共有することで安全意識を高める重要な取り組みです。しかし、コロナ禍において対面での話し合いが禁止されたことで、以下のような影響が見られました。
現状分析の質が低下
対面での活発な議論が減り、形式的な活動になったことで、リスクの見落としが増えた可能性があります。コミュニケーション不足
オンラインや紙面だけのKY活動では、現場のリアルな状況が十分に共有されず、安全対策が疎かになる傾向があります。
提案: KY活動の活性化
少人数での対話型KY活動
大人数での対面が難しい場合でも、少人数に分かれて現場での具体的なリスクを話し合う場を設ける。例: 3~4人のグループで「今の作業で何がリスクか?」を共有し、対策を練る。
デジタルツールの活用
タブレットやスマートフォンを使い、現場の写真や動画をもとにリスクを共有する。例: リスク箇所の写真をアプリにアップロードし、全員でチェック。
フィードバックを重視
KY活動で出たリスクや対策を簡単なレポートにまとめ、現場全員で共有する仕組みを作る。
2. 指差し呼称の声出し問題とその解決策
指差し呼称は、視覚と声を連動させることで作業のミスを防ぐ重要な手法です。しかし、コロナ禍で「声を出すことは感染リスクを高める」と指導された影響で、声を出さずに形だけの指差し呼称を行う場面が増えました。これにより、以下のような問題が生じていいませんか?
声が出ないことで確認作業が疎かに
大きな声で確認することで意識を高め、周囲への警戒を促していた効果が薄れる。形だけの指差し呼称が増加
指を指す動作だけで声を出さない「形骸化した呼称」が定着し、確認作業が不十分に。
提案: 声出しの再教育
声出し訓練の復活
声を出すことが安全作業において重要であることを再認識し、声出し訓練を行う。具体例: スマホのアプリに搭載された騒音計を活用し、「指差し呼称時に90dB以上の声を出す」という訓練は如何ですか?
声の重要性を啓発
「声を出すこと」が安全確認の要であることをポスターや朝礼で伝える。スローガン例: 「声を出さない指差し呼称はミスを呼ぶ!」
全員参加型の指差し呼称演習
安全確認を実際の作業に取り入れる形で指差し呼称を練習し、従業員全員の意識を高める。
3. タッチアンドコールの復活と工夫
コロナ禍で「人との接触」が制限された結果、タッチアンドコール(手で触れて確認し、声を出して呼称する)が控えられるようになりました。これが以下の問題を引き起こしています。
触れてコミュニケーションをとる効果の喪失
感覚で確認することでコミュニケーションを再認識する機会が減少。一体感・連帯感の不足
お互いに身体の一部を触れ合って指差し唱和することで、さらに一体感・連帯感を高める機会の減少。
提案: 接触確認の代替手法と復活リスク
・手袋を活用した接触確認
清潔な手袋を使用し、安全を保ちながら距離を保てるタッチ型での指差し唱和を再開する。
4. コロナ禍後の安全活動を再構築する
安全活動が形骸化することを防ぐには、以下のような取り組みが有効です。
現場の意見を取り入れる
現場の作業員から「安全活動の現状と課題」をヒアリングし、現場に即した活動を再設計する。新しい安全文化の定着
コロナ禍で生じた課題を教訓に、リスク管理を強化する仕組みを作る。例: 「一人KY」「自問自答KY」の活性化を図る。
5. 具体的な成功への方向性
騒音計アプリで指差し呼称を改善
某事業所では、指差し呼称時にスマホアプリで声量を計測し、「90dB以上の声を出す」という基準を設けて声を出し易くなる演練を繰り返し、形骸化していた「指差し呼称」の復活を目指しています。
*現場の騒音が通常70dBなので、それ以上でないと声が聞き取れないので目標を「90dB」と設定
デジタルKY活動の導入
ある工場では、タブレットを用いて危険箇所の写真を全員で共有し、その場でリスク分析を行う仕組みを導入。リモートでのKY活動も可能になり、作業効率と安全意識の向上を行える仕組み作りを検討中。
まとめ
コロナ禍による安全活動の制限は、私たちの職場に多くの影響を及ぼしました。しかし、それを教訓に、新しい安全活動の形を模索することが必要です。対面での活動が難しい場合でも、デジタルツールや新しいアプローチを活用することで、再び効果的な安全文化を育むことができます。
今日のポイント:
KY活動や指差し呼称を再活性化させる。
声出し訓練や接触確認を再導入し、安全確認を徹底。
コロナ禍で学んだことを活かし、新しい安全文化を築く。
今日から、小さな取り組みを積み重ね、安全意識を再び高めていきましょう!
2024.11.24