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読書感想文/ホラーのはずなのに微かな百合の気配を感じた

つい先日、文庫版が発売されました、芦花公園先生の『とらすの子』を読了いたしました!
いやぁ、これは…何とも後味が悪い…😨
角川ホラー文庫からは「佐々木事務所シリーズ」が現在、3作目まで発売されていて、そちらも読了済なのですが、『とらすの子』の方が生理的嫌悪感や救いのなさをビシバシ浴びせられました…良くも悪くも。

Twitter(現・X)では以前、芦花公園先生自身が
「角川ホラー文庫から出してる作品はまだ易しいほう。他のレーベルではもっと始末に終えない怪異を出します」という旨の発言をなさってたのを思い出しました。
いや、本当でしたね。
『とらすの子』を読んで、あーホントだ!!ってなりましたもん。
るみさんや物部さんは出てこないし、怪異とその発生源らしき人物の得体の知れなさが、とにかく凄まじい…。
『とらすの子』では、核心人物たる川島希彦にまつわる手記を読むうちに…
希彦は黒魔術的な儀式から生まれた「魔女の子」ではないか??
と思ったんですが…うーん、それも正解なのかどうか分からない。私の読解力がまだまだ未熟なのかもしれませんね💦

読み進めるごとに希彦に意識が行きがちですが、個人的には、小説家志望のライター・美羽と、正義感の強い警察官・白石さんのやり取りがもっと続いて欲しかった…。
美羽が白石さんに心を開き始めたとこで、それでも美羽は「とらすの会」に思考がとらわれて、中盤には死んでしまうんですもん…白石さんへのわずかな未練を残しながら。切ない…。

美羽が亡くなってからは、ほぼほぼ白石さんのターンで、警察官の先輩方が残した手記から「とらすの会」について調べて、先輩に「関わるな」と言われても「美羽の弔いがしたい」と言わんばかりに、単身で乗り込んでいくんだもん、白石さん…!頑張って!!
しかし、「とらすの会」にはマレ様だけじゃなくて、白石さんにとって最も大切な、弟さんもマレ様の力に魅入られていて……もう駄目だ。と、白石さんの作中の台詞と同じ気持ちになりました。

んで、白石さん。
「とらすの会」が潰れた後は警察官を辞めざるを得なくなって、希彦とこれからの話をするんだけども、希彦と別れた後に、白石さんは……
えぇっ!?白石さん何でしんじゃうの!
しかも希彦に憑いていた怪異は取り除かれていないし!!
誰か物部さんを呼んでくれ!!

って、なった……。
佐々木るみも物部斉清も出てこない、出て来れない。
そんな状況の芦花公園作品で怪異が暴れたら、何も救われない…怖すぎる…。
せめて白石さんだけでも生かしておいてあげてくださいよ、って…😭

(勝手に)百合の気配を感じたけれど、怪異には勝てませんでした…。
芦花公園先生のホラー小説は極上の恐怖と絶望を感じさせてくれるけど、佐々木事務所シリーズが恋しくなりました…。だって向こうでは、るみさんと青山くんのポップなやり取りもあるもんね!!

佐々木事務所シリーズの続編を待ちながら、次は『ほねがらみ』か『極楽に至る忌門』を読もうと思います。
それでは、ごきげんよう〜。

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