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【ファンタジー】ケンとメリーの不思議な絆#03

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第一章 不思議な街


街でのルール

 この街で生活をしていく上で禁止されているルールが一つだけあった。唯一のルールは生きた人間と話をしてしまうということ。生きた人間と話をしてしまうとその瞬間に寿命が尽きて、天国からのお迎えを待つことなく消えることになるらしい。この街に住んでいる人は、一様に天国にはいくことができる。ただし、その後転生させてもらえるかどうかが「生きた人間への話」で決められるようだった。

 意図的に人間と会話してしまった人は審議が重ねられて永遠に転生する権利を剥奪されるか情状酌量されて天国に行き、転生するのを待つことになるか、その時の状況で変わるらしい。なので、この不思議な街に住む人たちは、生きた人間が迷い込んできたとしても静かに見守るだけで話をすることなく寿命をまっとうしようとしている。

 そんな唯一のルールではあったが、神様の計らいなのか最後の試験なのか寿命が来た人に対し、神様がその人のゆかりのある肉親を呼び寄せ、最後の会話を促すシーンを創造することもあった。もちろん、肉親が人間として生存している場合に限る。そしてそのことは住人に知らされることはない。そう考えると計らいではなく最後の試験と捉えた方が正しそうだ。

 流石に自分と血が繋がっている人が迷い込んできたら、話しかけたくなるだろうし、近況を聞きたくもなるだろう。人間としての命はとうになくなっているものの、魂として生き続けている限り、自分に近かった人たちのことは気になるものである。それが特に自分の子供のことに関してだったら、居ても立っても居られない気持ちが全てに優先してしまい自ら話しかけてしまうだろう。もちろん、縁を切った状態の人もいるかもしれないが、それは神様も把握していることである。そんなゆかりのある人が街に入って来てその人に話しかけると話しかけた住民の不思議な街での生活は終了することになる。最後に少しだけ会話をして満足した後、天国に召されるのである。この時には審議なくして天国に召され転生可能になる。最後の幸せを噛み締めながら召されていくのである。

 こんな不思議な街は一体全体、世界のどんな場所にあるのだろうか? 人間が見つけられるような場所に存在するのだろうか、それとも違う次元の世界として存在しているのだろうか。


つづく



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松浦 照葉 (てりは)
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