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心ここに在らず
ある手続きのために、封筒と郵便為替が必要になった。さっと買いに行こうとしていたら妻が「ついでに買い物してきて」と頼まれた。
一番近い郵便局へは車で10分くらい、戻ってきてスーパーはマンションの目の前にある。通常は歩いていくスーパーだった。まず、スーパーまで歩いて行って封筒を購入し、一旦家に帰り郵便為替を入れて投函できる準備をして郵便局に向かった。すでに2時を回っているので、郵便局に行ってから頼まれた買い物をして帰ることにした。
いつも郵便局は小さな郵便局に行っている。その方が待たされることもないし対応もとても丁寧だから。450円の定額小為替を買おうと思い、手数料込みで550円を出した。すると職員の女性が申し訳なさそうに口を開いた。
「ちょうどの金額を持ってきていただいたのですが、手数料が改定になりまして、200円いただくことになっています。合計で650円になります。申し訳ございません」と言われた。こんなに丁寧に言われると素直に対応するしかない。出した小銭を引っ込めて仕方なく千円札をだした。そういえば両替などの手数料改定があったなということを思い出していた。購入した小為替を封筒に入れると先ほどの女性職員さんが再び声をかけてきた。
「こちらでお預かりして出しておきましょうか。念の為重量を計ります」
これぞ気配りと感心した。やはり大きな郵便局に行かなくて正解だと感じた。
一番重要な処理が済んだので後は頼まれた買い物をして帰るだけだ。買うべき品物はラインで連絡が入っているはず。確認すると「牛乳、牛肉、塩じゃけ、豆腐、なんでも良いから刺身」となっていた。どんな肉、塩じゃけって冷凍?などと思いながらいつもは歩いていくスーパーの中に入った。わからないので妻と電話しながらの買い物となった。なんとか、一通り買うことができ安心して店を出た。
買ってきたものはその日の夕飯となって出てくることになった。
一日が終わった。
翌日、追加の買い物のために二人で出かけることにした。いつものようにバッグをもって駐車場に向かったが、駐車場の前で二人の足が止まった。
「我が家の愛車がない。。。」
妻は、キーを車の中に置きっぱなしにしたんじゃないのと心配そうな顔をしていた。全く記憶がない私には、はたと思い当たることが一つだけあった。
「しまった。おそらく昨日スーパーで買い物をした後そのまま歩いて帰ったきたんだ」
慌てて、スーパーの駐車場が見えるところまで行って確認。
愛車はすでに暑い日差しの中に静かに佇んでいた。持ち主がくるのを一晩中待っていたのだ。スーパーが24時間やっているところでよかったと思った瞬間だった。
習慣化された無意識の行動だったようだ。
決して痴呆症の始まりではないと信じたい。
まるでショートショートのような現実の話でした(笑
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