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【ファンタジー】ケンとメリーの不思議な絆#21

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第四章 ワインの販路


ホテルへの提案

 翌日二人は、ワインを車に積んで、取引しているホテルに向かった。少し小高い丘の上に建っている瀟洒なホテルで女性客に人気がある。天気がいいと富士山も見える好立地であり、旅行雑誌などにも取り上げられていて人気が上がって来ているホテルだ。ホテルの担当者に対して女性のお客様専用に夕食時にサービスでつけるワインとしてどうかという相談をしたのだった。その時、ホテルの大きな窓ガラスの上のほうで飛んでいる透き通るような小さな白い蝶が舞っていたが、誰も気づかなかった。ワインを開けた時に外に飛び出したワインの妖精だった。誰にも気づかれない間に妖精は消えていた。

 もちろんその場でホテルの担当者にも試飲してもらった。担当者の評価も上々でかなり乗り気になっている。結果、物は試しということでとりあえず週末限定でお試しプランを作ってみようということになったのである。今回は白だけを試飲したのだが、これなら赤でもロゼでもいけそうだということで、ワインの色別の宿泊プランというアイデアまで出され検討が始まっていった。これを受けてキヨシはメリーに追加で二千本を送って欲しいと連絡した。

 手応えは十分である。その後、旅行サイト経由で女性専用ワイン付き宿泊プランを限定で出したところ、宿泊者の評価がネット上の口コミで広がり、大人気となり予定数量はすぐに完売。その後はホテルへや旅行サイトへの問い合わせが殺到して来たほどだった。

 当初は女性一人旅用プランとして想定していたが、女性のグループやカップルからリクエストが入るようになり、定常のプランとしての検討が始まった。少なく見積もっても年間で二万本以上のワインを確保する必要が出て来たのである。

 ホテルとしてはプランの拡大を実施せざるを得ない状況となり、追加でワインを注文したいと持ちかけられた。それも専属契約で本数を確保したいと持ちかけられたのである。当然買い手からの要望であり、酒屋からの卸値も若干の値上げも受容され、メリーの収入増も視野に入って来た。いきなり嬉しい誤算である。そうなるとキヨシたちは、ワインの追加仕入れに対する相談を現地と早急に実施しなければならない。キヨシはなんとなく運命みたいなものを感じ始めていた。

 しかしキヨシたちの力だけではない何かが作用しているようだった。


つづく


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松浦 照葉 (てりは)
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