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【ファンタジー】ケンとメリーの不思議な絆#17

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第三章 奈落の底から


記憶

 ケンは、隣人の話を聞いて直前に立ち寄ったメリーのワイン工場を思い出し、もしかしたら知り合いかもしれないと思い話始めた。

「そうなんですね。そういえば、ここにくる前にメリーさんという女性が一人でワイン工場をしていましたがご存じですか。あっ、本名はマリーさんという人でした」

「えっ、メリーに会ったの。元気だった。何か困っていなかった」

「あっはい。とてもお元気でした。ただ、ワインが全然売れないらしくて困っていました」

「あっ、でも、元気なのね。よかった。私の娘なのよ。メリーは」

「えっ、じゃあ、メリーさんのお母さんですか。うわー、びっくりです。メリーさんからは事故で亡くなられた、と、聞きましたが」

「そんな話もしたのね。そうなの、でも夫は間に合わずにそのまま天国に行ったわ。多分それが運命だったらしいわ。私は一緒にいる予定じゃなかったんだけど、なぜか夫と一緒にいたかったからついていって交通事故に巻き込まれたのよ。それで私だけここに連れて来られたのよ」

「そうだったんですね。まさか思いもよらないこの場所で会えるなんてびっくりです」

 ケンは、自分が死んでしまってからも縁があるなんて不思議だと感じていた。もしかして僕が住むことになった家がここだというのは、神様の遊び心なのかなと思ったりもしたが、知らない土地で死んでしまったのだけどすぐに話ができる人が隣人だったことはある意味救われたなと思った。

「メリーのことが聞けてよかったわ。これで安心してあの人の元に行けるわ。私の寿命はあと何年かわからないけど、こうしてメリーにあった人と話ができてしかもお隣さんなんて、あの案内役も粋なことをするのね。案内役の計らいじゃなくて神様のいたずらかしら。そういえば、あなたはなぜフランスに来ていたの」

 ケンは、旅行していたということを話すと同時に、メリーのワインをなんとか日本で売ることができないかということを考えて日本の友人に依頼してあるということも伝えるべきだなと感じていた。それできっとお母さんは少し安心できるかもしれないと思ったのだ。

つづく


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