【ファンタジー】ケンとメリーの不思議な絆#41
第七章 両親との再会
帰ってきた実家
その頃、ケンの両親が住む山梨県の家ではフランス警察から連絡を受けたケンの両親が、やっと自分たちの子供の死を受け入れようとしていた。ケンの両親は一人息子のケンが居なくなってからもいつかは帰ってくるかもしれないから、この場所から離れることができないと言って頑張って家を守り続けていたのだ。そのしばらく後に、ヨウジがキヨシの代わりにケンの実家を訪問していた。
「おじさん、おばさん、大変ご無沙汰しています。兄に代わりましてご挨拶に来ました。お線香をあげさせていただけますか」
「ああ、よく来てくれたね。ケンも喜ぶだろう。それに、今回ケンの遺骨が見つかることになったのはキヨシくんの息子さんが不思議な現象に遭遇したからだと手紙で知ったよ。本当にありがたいことだ」
「おじさん、おばさん、そのことでちょっと変な話をしますが、聞いていただけますか」
「もちろんだよ」
「実は、兄の住んでいるところでは、夜になると時々ほんのり光る空が見えるそうなんです。今回はその光の方向に兄の息子さんが近づいてみたところ、本来無いはずの場所に橋が掛かっていて、導かれる様に端を渡ると不思議な街があり、そこへ入って、亡くなったおばあちゃんと一瞬だけみたいですが会えて話をしたそうなんです。その時に、隣に住んでいたのがケンさんだったということらしいのです。なので、もしかしたら、こちらでも夜になって空がほんのり明るくなる様な場所があるのであれば、慎重に近づいてみられるといいかもしれないと兄が言ってました。ただし、あくまでも慎重にということでした」
「そういえば、この辺りでも、ほのかに光る明かりを見たことはあるよ。たまにだけどね。確か、隣の家の娘さんが交通事故で亡くなったんだが、十年経ってから、お母さんはその光の方に行って最後に話ができたって言っていたことがあったな」
「本当ですか、それ、まさしく今回の状況と一緒です。それで話をすると亡くなった方は天国に召されていくそうです。一瞬でも息子さんと会えて話ができるといいですね」
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