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【ファンタジー】ケンとメリーの不思議な絆#27

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第四章 ワインの販路


生産可能本数

「このワイン、年間何本くらい出荷できそうですか」
「そうですね。村の人にお手伝いしてもらっても、今のままだと五千本が限度だと思います」
「では、まず年間五千で契約しましょう」
「えっ、本当に。ありがとうございます。頑張ります」
「でも、年間でその六倍くらいにしたいですね。できるだけ早く」
「それは両親がいた時みたいに何人か雇わないと無理です。今はそんな余裕はないので当分無理かと思います」
「なるほど。一人で切り盛りされてるんですよね。わかりました。とりあえず葡萄畑と工場の方を見学させていただけますか」
「もちろん、荷物はその辺に置いたままでどうぞ。この辺りでは盗られる心配はありませんから」

 この後、広大な葡萄畑を見学してワイン工場というかメリーの自宅に戻ってワインの樽の状態などを見学した。広い葡萄畑を並んで歩きながらメリーから両親が事故で亡くなったことを聞き、当時雇っていた人たちを全員解雇し一年くらいは葡萄畑も放置してしまったということをキヨシはメリーから聞いた。それが原因かどうかはわからないが育てている葡萄の糖度が上がらなくなってしまったそうだ。最も、今はそのおかげでアルコール度数の低いワインに仕立てられているので良しとしようとキヨシは思った。

 また、メリーはそんな中なんとか新しいワインもできないかと意欲的に活動もしていたのだということも知った。しかし、資金継続の目処がなくなり工場自体を存続できないかもしれないという状況にまで追い込まれていたのだ。

 見学しながらキヨシは「とても一人で維持できる広さではないな。なんとかしないと生産が間に合わなくなりそうだ」と感じていた。また一方で天真爛漫で純粋なメリーに心惹かれているのも感じはじめていた。

 決断が早いキヨシはこのままではいけない、なんとかしなければと判断し、メリーに相談を持ちかけようと考えていた。


つづく  次回から第五章に入ります


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松浦 照葉 (てりは)
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