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【ファンタジー】ケンとメリーの不思議な絆#45

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第八章 未来への希望


メリーの心配

 フランスのワイン工場はこのあと、キヨシとメリーから息子ケンに引き継がれ、その名もワイン工場ケンと名前を変え、日本への大量輸出が固定化されるとともにフランス国内でも飛ぶように売れ続け、売り上げも右肩上がりで成長していった。ケンはすでに二十八歳になり、立派な青年に成長していた。村人たちからの信頼も高く、この辺りのリーダーとして活躍する様になっていた。意欲もあり、ワインの研究も実施し、新種のブドウ開発にも意欲的だった。両親もそんなケンを頼りにしていたが、如何せん、山の中なので出会いがないことを心配していた。メリーの時もそうであった様に偶然に期待するしかないのかなという思いと、自分たちでなんとかしてあげたいという気持ちが交錯していた。しかし、メリーは「きっといい人が現れるわよ。だってあの子は、ケンから繋がった運命の子だもの」と信じていた。そう言われればキヨシも運命の糸に引き寄せられてここに来たんだなと思い「そうだな」と相槌を打っていた。

 そんな会話をしていた日の夕暮れ、いつものように夕食用のワインを注ぎにワイン樽のところにメリーがやって来た。するとワイン樽の影から白い小さな妖精のケーサが近づいて来て久しぶりに話しかけて来た。

「メリー、浮かない顔をしてるわね。どうしたの」

「あら、妖精さん、久しぶりね。うん、息子のケンのお相手になる女性がどこかにいないかなぁと最近思うようになったのよ。下の街にも年が近い女の子はみんな都会に行ってしまったし、親思いで残ってくれているケンに何だか申し訳なくて。あっ、こんなこと、妖精さんに言ってもどうにもならないわね。女の子を突然出現させるなんてことできないし」

「あら、そんなことないわよ。メリー」

「えっ、どういうこと」

「そうね。ケンのお相手は生まれた時には決まっていたのよ。だって、みんなで協力したもの」

「えっえっえっ、全く意味がわからないけれど」

「ふふふっ、そうよね。あと何日か経ったらわかると思うから楽しみにしてて。それから、今話したことは、キヨシにもケンにも内緒よ。少なくともあと一週間くらいはね。絶対人に言っちゃダメよ、キヨシにもね」


つづく


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