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【ファンタジー】ケンとメリーの不思議な絆#06

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第二章 見知らぬ旅行者


バックパッカー

 バックパックひとつで旅行をしながら世界中を歩き回っている日本人のケンという若者がいた。一人で旅行をするのが好きでいろんな国を旅行していた。大抵は、訪れる国でも田舎の方ばかりを旅していた。格好はいつも同じでシャツにジーパン、トレッキングシューズというハイキングにでもいく格好だ。ただ、テントやシュラフを背負っているのでリュックは結構大きめだった。もちろん、突然の雨にも困らないように大きめのレインコートも常備している。

 知らない土地の都会は怖いし田舎の方がなんとなく親切な人が多く、事件にも巻き込まれにくいだろうとケンは考えていたようだった。それに、ケンが旅行をする目的は、観光ではなく世界の人たちと触れ合うことが目的だったので、伝統や風習が残っている田舎を好んで旅していたのだった。ほとんどが歩き回ってテントで寝泊まりする生活を送っている。無精髭も伸びているし、髪の毛も清潔そうには見えないので、髪を後ろで束ねていた。日本人にしては堀の深い顔立ちをしている。帽子をかぶって髪の色がわからないようにしていると、アジア人と思われることはまずなかった。

 よく晴れた日に、南フランスの田舎の葡萄畑が多くある地域を歩いていると、ほとんど人がいない場所にも関わらず、若い女性の姿が確認できた。薄化粧で長い髪を後ろで結び白いシャツがよく似合う健康的な笑顔が素敵な女性だった。少しそばかすが顔に散っていたがそれがまた太陽の光を浴びてチャーミングに感じてしまい思わず立ち止まって少し見つめてしまった。すると、女性の方から歩み寄って来て話しかけてきたのだ。

「ねぇ、あなたはどこからきたの。今、私のこと見てたでしょ。隠してもダメよ。この辺では見かけない顔の人ね。私はマリー。みんなからはメリーと呼ばれているからメリーと呼んでくれていいわよ。近くでワインを作ってるのよ。バックパックでこんなところまで歩いて来るなんて、もしかしてワインが好きなの。ワイン関係の仕事の方だったりして。それとも何か記事を書いているジャーナリストかしら。何にしてもこの辺りによそから人が来るのは珍しいのよ。ふふふっ」

 視線を向けていた女性から、屈託のない笑顔で突然声をかけられ、ケンはバツの悪さと咄嗟のできごとにびっくりしてしまった。しかも自己紹介までされてしまったので、何か返さないといけないと頭をフル回転させていた。


つづく


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