レッスンを振り返る
先日、祖父が亡くなった。
火葬場は、曾祖母の時と同じ。
小学校低学年の頃だったけれど、その時は焼き場の煙突から煙が上がっていたと思う。
今はどこの火葬場も煙が上がらないのかな、と思いながらぐるりと小さな建物を一周しているうちに、ショパンの葬送ソナタのレッスンを思い出す。
第3楽章の葬送行進曲、和音が付点で上がっていく所。
小林秀雄の『作家の顔』という本の中で“死んだ中原”という詩があって、一部を抜粋すると
夕空に赤茶けた雲が流れ去り
見窄らしい谷間ひに夜気が迫り
ポンポン蒸気が行く様な
君の焼ける音が丘の方から降りて来て
…
あゝ、死んだ中原
例へばあの赤茶けた雲に乗つて行け
何の不思議な事があるものか
僕達が見て来たあの悪夢に比べれば
この詩を先生に教えてもらって直ぐに本を買って読みました。
小林秀雄と中原中也の関係は女性関係のもつれで複雑な部分があったことも文章に書かれてありました。
空を見上げて逝く人へ送る想いと付点の上昇する音階の印象が強く結びついて腑に落ちた事を思い出しました。
自分の備忘録として。
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