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菜食主義者 채식주의자 本のレビュー

読んだ時のことを思い出す

翻訳本の表紙

「채식주의자」が10月10日ノーベル文学賞を受賞したので、以前読んだ時のことを思い出しつつ、解釈は難しいけれど個人的に印象に残ったり、思ったことを書いてみたいと思った。
3年ほど前に、私はこの本をたまたま韓国語を教えている教室の本棚で見つけた。コロナ禍で海外に行けない学生さんに、読み物として貸してあげるものを探していて、これが目について休憩の時間に読んだ。
最初は内容が暗い感じがして1/3も読まなかった。普段も色々考えなきゃならない仕事をしているわけだから、エンターテインメントとして映画とか本とかを楽しむなら、どちらかというと明るめでエネルギーを貰えるものが好きな私だけど、作者のハンガンが、お世話になっている先生の 연세대학(延世大学)の同期なのを知って、もう一度ちゃんと読むことになった。

ハン・ガン の歩みについて書かれている

この本は全部で3人の観点からの話として3つのチャプターで出来ているが、後から知ったけれど、3つの小説がそれぞれ違う文学雑誌に連載されていたらしい。載った時期もそれぞれ夏、秋、冬に連載されたとか。
最初のチャプターの「菜食主義者」がヨンへの観点になっている。

本に受けた印象

文体としてはそんなに難しい感じではないので、2、3日くらいで読み終わったものの、トラウマになった出来事が夢に出たことでいきなり菜食主義者になったり、人の前でノーブラで居たり、肉食を強要されたことで手首を切って病院に運ばれたり、その後も衝撃的な行動をとるとか、精神的に変わっている主人公に共感することは難しいので、小説としての没入感は個人的に薄かった。

主人公のヨンへが菜食主義者になったのは、菜食を選択することで、誰に対しても暴力を払いたくないと宣言したんだと感じた。子供の時から父親から暴力を受け続けて性格も内向的な彼女自身が、父親の強要で肉を食べさせられることによって被害者から加害者になるのを耐えられなかったと思った。以前の彼女なら嫌でも権威とか権力とかに逆らえなかったり、空気を読んで周りに合わせたはずなのに、もうそのようなことはしないと。

日本の方のレビューを見ると、韓国の家父長制の社会雰囲気から解釈する人が多い印象だが、女性だからとかよりはそれが親に対する子供でも、男に対する女でも、人間に対する犬(動物)でも、とにかく「相手より弱いもの」に対するシステムを言いたいのだと感じた。

頭に残るセリフ ①「더워서」暑くて

ヨンへはよく「더워서」を言ってるが、彼女の中で加害者になったトラウマに対する、もどかしさや罪悪感を表してると思った。だからブラも普段付けないのではとも思った。

頭に残るセリフ ②「저는 고기를 먹지 않아요」私は肉を食べません

ヨンへは犬の死を知らんぷりしてしまった子供の頃の自分と今の自分は違うことを宣言しているのだ感じた。社会的に偉い地位の人達の前で、父親の前で、以前自分ならすすめられたまま食べただろうけど、堂々と暴力や権威の前で曲げないことを宣言している。

頭に残るセリフ ③「꿈을 꿨어」夢を見たの

夢を見たというと夫はいつも同じ話だと無視していた。夢はヨンへにとって彼女が潜めてきた罪悪感や恥ずかしさ、羞恥心の塊だろう。共感して貰えない孤独感、罪悪感、恐れを表しているのだと思った。

小説をあまり読まないのは、どうしても日本の縦読みに慣れないからなので、韓国の小説をもっと読んでみたいと思った。

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