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セラピストを取り巻く環境をPEST分析してみる⑤ まとめ

本日のマエオキ

こんにちは。
OneSelFの佐藤です。

連日の酷暑…
暑さにやられておりませんか?

私もやられておりましたが、段々と暑さに馴れてきました。
#馴れも使いよう

この暑さに馴れることを”暑熱順化”といいます。

人間は体温が上昇してくると、発汗による気化熱や皮膚血管拡張による熱放散で体温を調節します。
加えて、汗の塩分を減らすことでカラダの中のミネラルを保ちます。

このように発汗や皮膚血管拡張を促進し、ミネラルを保つすることで、暑さに対し対処できるようになります。
#人間の適応能力

暑熱順化の効果 created by 青木双風

この暑熱順化には1週間くらいかかります。
#1週間の辛抱

そんでもってこの暑熱順化を味方につけることで、パフォーマンスが上がることも分かっています。

原文はこちら。

しっかりと暑さ対策をしながら、みっちり汗をかくことで暑熱順化を促せます。

皆さんも暑さに馴れて快適に夏を過ごしましょう!
#もちろん適切な対策をしながら

前回までのおさらい

これまで4回に渡り、セラピストを取り巻く環境をPEST分析してきました。

PEST分析は以下の頭文字をとった言葉で、外部環境を分析することで今自分たちができることを明確にして注力しくための分析です。

  • Politics(政治):法律や条例など国・公的機関の動向

  • Economy(経済):景気や物価指数などの経済の動向

  • Society(社会):人口動態や社会的意義、生活様式などの動向

  • Technology(技術):新しい商品やオンライン技術などの動向

下記、分析結果です。

セラピストの取り巻く環境 ©️Y.sato 2022

本日はこれらを総括しながら解釈し、この先の時代、僕らがどのように舵を取っていくのか、その方向性を記してみたいと思います。

解釈してみる

今回のPEST分析を改めて整理してみると、

政治分野:保険制度の改変・質的評価、医療費の自己負担増、セラピストの供給過多
経済分野:円安・インフレーション・スタグフレーション、健康に対する支出の減少
社会分野:超高齢社会、健康経営への意識向上、感染症によるソーシャルディスタンスの増加
技術分野:ICTの活用、オンライン化

#もはや頭文字 、英語使わんのかい

この結果から見えてくるセラピストを取り巻く環境は、
個人一人ひとりがどのように健康を維持していくかを考える時代
に突入したと考えます。

超高齢化社会となり健康への意識は高まっている一方で、医療費は削減されつつ経済が停滞しています。
距離により分断されたつながりをICTやオンラインサービスなどを用いて代替し、必要に応じてリアルを併用することで補完し合いながら、個人が自身の健康について考えていく、そんな時代になってくるかと。

個人的には分断は嫌ですが、すでにそんな時代に突入しているのかと。

こういう時代では利便性を最優先に無駄を省き、効率を優先させます。

例えば、店舗運営ではレジは自動化され、無人運営の場所も出てきています。省人化です。コストを下げる上では確かに避けては通れません。「今日も暑いですね」という一見何の生産性もない余計な会話は無くなりました。

例えば、オンラインでのミーティング、ミーティング前後のざわつきもなくなり、議題以外の余計なことは話せません。

僕としては無駄・余計と思われる中から、人生に活かせるものを探すことが自分自身を高めてくれるものだと確信しているので、少し寂しい気もします。
#余白が欲しい
#もはや時代遅れと言われそう
#むしろ時代先取りなのではないか
#という逆説的観測
#新たな価値

そうした時代の流れの中で、セラピスト・トレーナーの周辺で起こってくるものは、医療の標準化・医療のサービス業化・保険外サービスの台頭だと考えます。

-医療の標準化

昨今、セミナーがめちゃめちゃ増えてます。

僕が目にしてるだけでもセミナーの数は3-4倍になっている感覚です。

これは医療業界だけにとどまらないのではないでしょうか。

これにはSNSなどの発展で情報が取りやすくなったことに加えて、距離の分断でICT・オンラインサービスへのハードルがグッと下がり、気軽に情報が共有できるようになったことがきっかけとしてあると思います。

もちろん全てのコンテンツが充実しているとは言えませんが、5年前よりは確実に情報が取りやすくなりました。

ICT・オンラインのスゴいところは、対象者数に際限がないんですね。
対象が求めれば求めるだけ情報に手が届く。
#今後この分野にもNFTが生まれるかも

距離の概念を破壊したこの情報取得方法により、今まで一部の人にしか届かなかった情報がより多くの人に届くようになります。

僕の経験談ですが、僕が学生の時に怪我をして受けていた医療は電気とマッサージでした。
近くの整形外科に行っても理学療法士なんて人はおらず、リハビリなんてしたことはありませんでした。
そんな時代でも首都圏では保険内でアスリートが受けるようなリハビリが一般の人へも提供されていました。

こういう地域格差というのは少なからず生じています。
これは良い悪いの話ではなく、距離の概念がもたらす偏りです。
#偏ったって良いじゃない
#という気持ちもある

これまでは東京にいないと中々得る機会がなかった知識が地方でも受け取れるようになります。なんならアメリカにいないと取れなかった知識が日本でも気軽に取れるようになります。それも同時通訳付きで。

そうすると起こってくるのは知識の標準化です。

標準化と聞くと、平均を取るイメージですが、この時代の知識の標準化は平均が爆上がりします。

なので、標準化=質の向上ということも言えそうです。

誰もが均一で高水準の医療を享受できる。

そんな時代がやってきそうです。

この恩恵を受ける人は多そうです。

-医療のサービス業化

そんな医療の質が標準化されてくると生じてくる課題があります。

それは差別化ができない、ということです。

「病院だから差別化しなくてもいいんじゃない?」
「医療でお金儲けするなどもってのほかだ!」

なんて声も聞こえてきそうですが、病院経営も立派な経済活動です。

医療法人は営利組織ではあってはならない、という規定もありますが、スタッフに給与を払って、備品を購入し、家賃を払わなければなりません。

そのためには利益を上げようとするシステムの構築は絶対必要です。
#もちろん国営などの公的病院は一定数必要

そして今や病院が潰れる時代です。
#紛らわしいのでここでは診療所も含めて病院と呼びます

なので、差別化は必要です。

差別化のために起こってくること、これが医療のサービス化です。

医療、と聞くと職人気質な気がしますが、対人を相手にしているサービス業です。

サービス業というのはホスピタリティを兼ね備えた接客が必要になります。
#僕が思うサービスとホスピタリティの違い
#サービスは提供するものやこと
#ホスピタリティは提供する過程

そして最近ではGoogleの口コミなんかで評価されます。

その内容にはもちろん医療の質に関するものもありますが、接客に関する声も多いです。

「受付の対応が悪い」
「お医者さんが話を聞いてくれない」
「湿布を出されて終わり」

これを「患者側が悪い」「ここは病院なんだぞ、贅沢言うな」という態度で接するところに、行きたいとはなりにくい。

医療の標準化がなされる前は
「うちだけの最先端の治療がある」
というのが通用したのですが、これからはそれが通用しなくなります。

そうなってくると自ずと接客に力を入れる必要があります。

ましてや病院の収入源は社会保険収入に頼っているため、保険点数の改定で半ば強制的に売上が変動します。
#これが補助金とか保険収入とかの難しいところ

そうなると患者数は売上に直結してくる、より重要な指標になります。

そして、病院は医療法による広告に制限がかかるので、接客の質≒患者数に近づいていくかもしれません。

最近の病院では非常に患者さんに寄り添ってくれる病院も増えてきました。
こうした病院が今後、生き残っていく時代になりそうです。

-保険外サービスの台頭

最後に保険外サービスの台頭です。

上記のように、今後、医療は標準化されてきます。

この標準化がもたらすもう一つの影響は、保険診療の基準統一です。

みなさん、リハビリテーションの定義をご存じでしょうか?

リハビリテーションとは能力低下の場合に機能的能力が可能な限り最高の水準に達するように個人を訓練あるいは再訓練するため、医学的・社会的・職業的手段を併せ、かつ調整して用いること

WHO, 1968

この定義からすると、リハビリテーションは必ずしも病院だけが担当するものではないことがわかります。

しかしながら、日本ではリハビリテーション=病院という概念が広まっています。

そして病院は上述のように社会保険収入を主な収入源としているため、この保険で適応となるのか、ならないのかが大きな基準となっています。

そして慣習的に、この保険内は「日常生活に戻る」ということが適応範囲になってる場合が多いかと思います。

よくスポーツのリハビリテーションでは日常生活までの復帰を指すメディカルリハビリテーションと競技への復帰を目指すアスレティックリハビリテーションに分けて説明されます。

公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト7より引用

この「日常生活に戻る」がどこまで含まれるかは議論の余地がありますが、ここに加えて、保険適応期限の厳守化や改善が認められない場合の保険適応終了など、保険適応の規定は今後さらに厳しくなっていくものと思われます。

さらには保険点数の削減により、高い水準の知識と技術を活用しようとすればするほど、コストバランスが崩れやすくなり、保険適応の範囲を逸脱する可能性が増えてきます。
#良いことを行おうとすると自分の首をしめるという負の連鎖

これを解決するシンプルな手段が、保険外サービスです。

つまりは保険診療というコストの優位性を捨て、リハビリテーションの概念に則り、日常生活に戻った後も更なる最高を目指して寄り添うことに特化する。

今後、保険点数が削減することを踏まえると、知識技術に見合った売上を上げることで、経営的にもこちらの方が健全だという意見も出てきています。

大学病院内にも自費リハビリテーション施設を設ける動きもあり、この流れはより加速していきそうです。

そして、セラピストが供給過多になっている現状を踏まえると、自費リハビリテーションの加速に拍車を掛けそうです。

もちろん自費リハビリテーションとなると様々な規定が取っ払われるため、自由度が増す一方で、質のバラつきが出てくることは否めませんし、そのばらつきは今後も増してきそうです。

怪しげな民間療法も増えることが予想されます。

ただそこは保険外サービス、競争原理が働くので、本当にユーザーにとって良いものが残っていくことでしょう。

如何に質を担保し、さらには向上できるか、企業努力が問われる時代になってきているようです。

おわりに

今回、全5回にわたり、セラピストを取り巻く環境をPEST分析してきました。
#PESTという単語を人生で一番タイピングした

いかがでしたでしょうか?

一つ一つは何気ない、言われてみればあぁそうだな、くらいのことだと思います。

それを政治・経済・社会・技術という項目に区切り、多視点で覗いてみることで、見えてくる新たな価値がありそうです。

まさに僕たちは激動の時代にいます。
この分析も来年には大きく変わってくる部分もあると思います。

ただいつの時代でも、その外部環境をうまく活用して、自身のやりたいことにつなげ、人生を充実させることを人間はしてきたように思います。

現状に不満をいうのは簡単ですが、視点一つ変えてみれば、それはチャンスと捉えられます。

そう捉えると、この時代、決して悪くないと思います。

変わる勇気を持ちながら、自らの進みたい方向は方向はぶれない。

難しいことですが、せっかくこの時代を生きているので、この時代を生き切っていきたいですね。

PEST分析2022、ここまでです。

長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました^^


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