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生成AIだけでデザインは十分なのか?~プロのデザイナーが生み出す真の価値~

あなたは最新の生成AI技術を使って、自社のバナー広告を作成しました。
コスト削減に成功し、一見それなりの画像ができあがったように見えます。しかし、なぜかその広告は期待通りの成果を上げられていません。

実は、あなたは知らず知らずのうちに、ビジネスチャンスを逃している可能性があるのです。

本記事では、生成AIとプロのデザイナーの違いを明確にし、ビジネスにおけるデザインの真の価値を解説します。コスト削減と効果的なビジュアルコミュニケーションの両立についての視点を解説していきます。

■ この記事で学べること

・非デザイナーが生成AIで作成したデザインの落とし穴
・プロのデザイナーが提供する目に見えない価値
・ビジネス成果を最大化するデザイン戦略の選び方


1. 生成AI活用で「誰でもデザイナーになれる」の罠

生成AIの登場により、デザインのプロセスは大きく変わりつつあります。
AIを活用することで短時間で多くの画像やグラフィックを作成することが可能になり、コスト削減や効率化を実現します。

・人件費削減
― 単純な制作業務をAIが代替することで、人件費を削減可能
・制作時間短縮
― AIによる初期案生成により、制作プロセスを短縮
・多言語展開の効率化
― AIによる翻訳と同時にビジュアルも自動調整

多くの企業が、コスト削減のためにデザイン業務の内製化を始めています。
しかし、この動きには大きな落とし穴が潜んでいるのです。

ある企業のマーケティング担当者は、生成AIを使ってバナー広告を作成しました。確かに、メインビジュアルは一見それらしく見えます。
しかし、完成したデザインを見て、プロのデザイナーは「非常にもったいない」と感じたのです。なぜでしょうか?

いくら生成AIを活用して綺麗な画像を作成しても、デザインの本来の目的である「伝える」ために必要な要素が備わっていなければ、それは決してデザインではありません。

2. 見落とされがちな「文字組み」の重要性

非デザイナーが生成AIを活用して作成したデザインの多くに共通する問題点があります。

それは「文字組み」の質の低さです。

文字組みとは、印刷物やWEBデザインの中で、文章や情報などの文字を配置する技術や手法のこと。フォント、文字のサイズ、レイアウト配置、行間、文字間、余白の使い方などを細かく行い、読みやすさやデザインの美しさを追求するための重要な役割となります。
そのためデザイン制作において、文字組みは単なる文章の表示ではなく、デザインの一部として考える必要があるのです。

フォント、文字のサイズ、レイアウト配置、行間、文字間、余白の使い方など、情報を効果的に伝えるための要素が適切に設計されていないのです。

以下のような、ただ配置しただけの文章。
非常に読みにくいですよね。

もはやデザインでも何でもない。
こんな感じで情報が掲載されているデザインは誰も読みたくなくなります。

しかし、少し文字組みをするだけで…

同じ文章でも劇的に見やすくなりますよね。
フォントや文字のサイズ、行間や文字間を少し調整したことによって、大見出し、小見出し、本文の区別が明確になり、読みやすく見やすいデザインになったかと思います。

このように情報を伝達するためのデザイン(バナー画像やポスターなど)において、文字組みはデザインのほぼ全てと言っても過言ではありません。

いくら美しいビジュアルだとしても適切な文字組みがなければ、その効果を十分に発揮することはできません。

3. デザイナーによる目に見えない価値の創造

多くの人は、デザイナーの仕事を単に「見た目の良いものを作ること」だと考えがちです。しかし、プロのデザイナーの価値は、目に見える部分だけにとどまりません。

以前noteで「デザインのもつ4つの力~狭義のデザインと広義のデザイン~」という記事を投稿しました。
こちらの記事の中では、いわゆる色や形などのビジュアルを作る(狭義のデザイン)だけがデザインではなく、それ以前の目に見えない過程のデザイン(広義のデザイン)がより重要な役割を果たしていることを解説しています。

デザイナーはビジュアルだけを作っているわけではありません。

課題発見から情報の整理および設計、イメージの具体化、デザインの一貫性の保持など、目に見えない部分まで設計しているからこそデザイナーなのです。

・情報の整理と構造化
・ブランドイメージの具体化と一貫性の維持
・ターゲット層の心理を考慮したデザイン設計
・ビジネス目標達成のための戦略的なビジュアル制作

これらの要素は、生成AIだけでは十分に対応できない、人間の経験と創造性が必要な部分なのです。

4. AI活用の正しい姿

生成AIの活用自体は決して悪いことではありません。
むしろ、適切に使用すれば、デザインプロセスの効率化やクオリティ向上に大きく貢献します。

私自身も、自身の制作プロセスに生成AIを「部分的」に取り入れることで、作業スピードの向上や表現の幅を広げています。

あくまで「部分的」にです。
まだまだ現時点では、デザイン全ての工程(ビジュアル制作以外の部分)を生成AIだけで完結することは難しいと感じています。(情報の整理やデザインアイデアの壁打ちなどで対話型AIはよく使用していますが)

重要なのは、AIにできることとできないことを正確に把握し、デザイナーの創造性や経験と組み合わせて使用することです。

5. コスト削減か品質向上か?

短期的なコスト削減に目を奪われ、デザインの質を軽視することは非常に危険です。
なぜなら、デザインはしばしば顧客との最初の接点となるからです。

コスト削減ばかりに目が行ってしまうと、クライアントとの接点となるデザインのクオリティが下がり、自社のブランド価値を落とすことに繋がることになります。

質の高いデザインは、以下のようなビジネス価値を生み出します。

・ブランド認知度の向上
・顧客信頼の獲得
・商品・サービスの差別化
・販売促進とコンバージョン率の向上

これらの価値は、短期的なコスト削減よりもはるかに大きな長期的利益をもたらす可能性があります。

■ まとめ:賢明なデザイン戦略の選択

生成AIの登場により、確かにデザイン制作の敷居はグッと下がりました。
しかしビジネスにおけるデザインの真の価値は、単なる見た目の良さだけではありません。
情報の効果的な伝達、ブランドイメージの構築、顧客心理への配慮など、プロのデザイナーが提供する目に見えない価値を軽視してはいけません。

賢明な経営者は、コスト削減と品質向上のバランスを慎重に検討し、自社のビジネス目標に最適なデザイン戦略を選択します。
生成AIとプロのデザイナーのスキルを適切に組み合わせることで、最大の効果を得られるでしょう。

ぜひこれを機会に自社のデザインプロセスを見直し、AIとデザイナーの役割を再定義してみてはいかがでしょうか?
短期的なコスト削減だけでなく、長期的なブランド価値の向上を目指す戦略が、ビジネスの持続的な成功につながります。

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