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【ワンパブ・オープン社内報 vol.11】 Webにはない紙の良さを、たくさんの読者に届けたい。『Nadia magazine』の担当編集が抱く熱い想いとは
メディアビジネス本部 第2メディアプロデュース部 横山由佳
【ワンパブ・オープン社内報】は、ワン・パブリッシングで働く人を通して、会社・雑誌・メディアが、いまどのような新しいことにチャレンジしているかをお伝えしている連載です。
今回は、『Nadia magazine』を筆頭に新しいレシピ本の形を模索し、企画を次々と生み出している料理書編集部の横山さんにお話を聞いてきました。(所属や肩書は取材当時のものです)
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【社員プロフィール】
横山由佳
■2016年
新卒で学研プラスに入社。実用書チームに配属
■2017年
『野菜だより』編集部に異動
■2020年
フーズムックチーム(現料理書編集部)に異動
「まずは自分でやってみる!」これがすべての仕事の原動力
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―入社して今年で6年目なのですね。横山さんがこれまでに担当してきた雑誌や書籍について、簡単に教えてもらえますか?
最初に担当したのは、料理・育児・手芸に関する実用書です。その後、『野菜だより』(現在は、ブティック社より刊行)編集部に異動になりました。
このとき、読者のニーズを肌で感じるために、実際に畑を借りて家庭菜園を始めたのですが、今でも大好きな趣味として休日は野菜を作っています。先日も、立派な玉ねぎが収穫できました!
そして昨年、現在の料理書編集部に配属になりました。いま現在は、ムック『Nadia magazine』とNadia Artist(レシピサイト「Nadia」にレシピ投稿している料理家)の単著『Nadia Booksシリーズ』を中心に、日々企画・編集作業に励んでいます。
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―人気レシピサイト「Nadia」とタッグを組んだ『Nadia magazine』は、ワンパブとして新たな挑戦だと感じました。企画したきっかけや経緯などをぜひ聞かせてください。
きっかけは、コロナ禍で在宅勤務が続いたとき、自分でお昼ごはんを作ろうといろいろなレシピサイトを覗いていたことです。学生時代はお弁当を作ったりもしていたのですが、社会人になって忙しくなり、なかなか料理をする余裕がなくなってしまって……。
また、その頃は料理書チームに異動したばかりで、私自身レシピサイトなどの知識があまりなかったこともあり、ユーザーの立場で日々いろいろなレシピを検索していました。すると、「ステキだな」「作ってみたいな」と思う料理家さんのほとんどに、「Nadia Artist」という肩書がついていることに気がついたんです。
![無題](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57662758/picture_pc_b256006811a2a1e61abd0d64e9fe2e40.png?width=1200)
実際に「Nadia」を使い始めてみると、写真のクオリティは高いし、レシピや工程も詳しく載っていてわかりやすく、本当に魅力的なサイトだと感動しました。そこで、「ぜひご一緒したい!」とすぐさま「Nadia」のお問い合わせフォームからご連絡したのが始まりです。
はじめは単発の企画だったのですが、打ち合わせを重ねていく中で、社内から「『magazine』という名をつけて号数を重ねたい、継続的にお付き合いしていきたい」という意見が出てきて。
今では、『Nadia magazine』がシリーズ化しただけでなく、『Nadia Books』というNadia Artistの方の単著を刊行するまで発展しました。すでに年内で5冊出すことが決まっています。最初に思っていたよりも話が大きくなっており、少しプレッシャーを感じていますが(苦笑)、やりがいがあって楽しいですね。
紙の本を必要としている人へ、愛情をたっぷり込めた一冊を届けたい
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57662785/picture_pc_e65f7452bd40bceaa56f3788648ed14f.jpg?width=1200)
―もう少し『Nadia magazine』について聞かせてください。以前、このnoteの取材でNadia株式会社の代表取締役社長・葛城嘉紀さんにお話を伺ったとき、「他社からもいろいろな出版の話がきていた中で、横山さんの熱い想いに心を動かされ、ワンパブとタッグを組むことを決めた」とおっしゃっていました。どのような想いを持って、『Nadia magazine』のお話を進めていったのですか?
そう言っていただけると気恥ずかしいですが…(照)。いまやwebでレシピを検索しようと思えばたくさんありますよね。一方で、紙のレシピ本の必要性も確実にあると思っています。
私が新人のとき、読者の方から問い合わせの電話をよく受けていたのですが、「Amazonで購入できます」と伝えても、「アマゾンって、あのジャングルの?」と言われることが本当にありました。また、『野菜だより』をつくっていたときはメイン読者が60歳以上の方で、取材をお願いする方との原稿のやり取りがFAXだったこともあります。
もちろん、メールやインターネットを使いこなしている方もいらっしゃいますが、年代による情報収集のギャップはやはりあるんですよね。みなさん、「新しい情報を知りたい」という向上心はあるのだけど、インターネットが使えない環境にいたり、たまたま教えてくれる人が周りにいなかったり、それぞれ事情は違いますが、まだ紙がないと困る方は少なくないはずなんです。
だからこそ、「Nadia」という素晴らしいサイトやNadia Artistさんの素敵なレシピが世の中に十分に届けられていないんじゃないか、と私は思ったんです。紙のレシピ本を必要としている人に、このレシピでお料理を作ってほしいという想いがどんどん膨らんで、その気持ちを葛城社長にぶつけさせていただきました。
―Nadiaさんからも認められた『Nadia magazine』の企画ですが、発刊に向けて大変だったことはありますか?
単発ではなくmagazineという名をつけて号数を重ねていくにあたって、社内の説得が大変でした。料理書編集部としてはもちろん、ワンパブとしても初めての試みでしたし、当たり前ですがみんながみんな料理をする人ばかりではないので、「Nadia」とはなにかから説明をして……膨大なページ数のパワーポイントでプレゼンをしました。すごく大変でしたが、良い勉強になりました!
―ネットでレシピを検索すると、手元にある材料で作れるものが瞬時にヒットするので便利ですが、一方で、検索ワード以外のレシピには出会いにくいと感じます。その点、紙の本では思いも寄らない素敵なレシピに出会える良さがありますね。
はい。『Nadia magazine』は、Nadia側の担当者さんと、「いまユーザーや読者の人が知りたい内容はなにか?」を相談しながら企画の切り口・テーマを決めていくのですが、本ならではの企画の切り口で、PCやスマホが使える年代の人たちにとっても「おっ、こういう情報が欲しかった!」と思ってもらえるような内容を目指しています。
たとえば、「時短・節約・簡単」など王道のテーマだけでなく、「編集部の偏愛レシピ」など、一般的なレシピまとめ本ではまず出てこないようなテーマやレシピも盛り込むようにしています。欲しいものをピンポイントで探すネットショッピングも楽しいですが、街をぶらぶら歩いていると思わぬ良いものに出会える喜びがある、というのと同じようなイメージでしょうか。
ちなみに、『Nadia magazine』の購入者データを見てみると、「Nadia」のファンの方はもちろんですが、「Nadia」というサイトは知らないけれど本の内容が良くて買いました、という方も多く、幅広い読者の方に楽しんでもらえていることがとてもうれしいです。
夢は「子どもにも読ませたい」と思ってもらえるような本を作ること
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57662901/picture_pc_b6fbbfed9e917a25613bc41b6d94ed9a.jpg?width=1200)
―ここからは、横山さんご自身についてお話を伺います。仕事をしていてやりがいを感じるとき、楽しい・うれしいときはどんなときですか?
自分の書いた記事が人気だったときですね。以前『野菜だより』で、編集者として初めて記事を担当したときのことなのですが……私の担当した特集がダントツで人気の記事になり、しかもその後数年間で一番売れた号になったんです。土壌微生物を活用して連作障害対策をおこなうというかなりニッチな記事で、書くのにものすごく苦労しましたが、あのときの感動は忘れられませんし、もう一度味わいたいと思っています。
企画や特集って、努力すれば努力した分だけヒットするわけでもないので、たくさんの方に読まれたり人気が出たりしたときは、やっぱりうれしいものです。
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―反対に大変だと感じるときは、どんなときですか?
スケジュール調整でしょうか……。日々、ありとあらゆる締め切りに追われています(苦笑)。要領が良くないので、時間で解決しようという悪癖があるんです。この綱渡り状態をなんとか打破したいですね。
―では、今後の夢や作りたい本、目標などを教えてください。
仕事の夢は、いつか子ども向けの本を作ることです。私が出版業界を志したのは、子どもの頃に読んだ本……たとば「こまったさんシリーズ」や「わかったさんシリーズ」などが大好きで、その存在があったからです。同じように、誰かにとって大事な本、一生大切にしたい、子どもにも読ませたいと思ってもらえるような本が作れたらなぁと思います。
プライベートでは、また旅行に行けるようにならないかとばかり考えています。過去に旅をして印象的だったのは、瀬戸内海に浮かぶ祝島(いわいじま)ですね。どうしても見たい棚田があって。船は一日3便しかないし、棚田まで行くにはバスもないので、往復3時間かけて歩いて見に行ったことは良い想い出です。海外でいうと、カンボジアのアンコールワットが忘れられません。
いつか旅行にいける日のために、いくつかの外国語を勉強中です。学生のころに比べて吸収も定着も悪くなっていてなかなか進みませんが(苦笑)。
―最後に、料理本から他の事業へ、なにか考えていることがあれば、ぜひお聞かせください!
料理だけにとどまらない、生活情報メディアを作ってみたいです。「北欧、暮らしの道具店」が昔から好きで。気が張りつめたり、疲れてカリカリしたりするときも、ふっとやさしい気持ちになれるようなメディアに憧れます。日々の生活の中で、少し肩の力が抜けるとか、救われた!と思う情報を発信していきたいなと思います。
―ふんわりとした柔らかい印象ながら、仕事の話や今後の夢のことになると、キラキラした目で熱い想いを語ってくれた横山さん。『Nadia magazine』シリーズの今後の展開、そしていつか、横山さんが手掛けた児童書が書店に並ぶ日が来ることを楽しみにしています! 横山さん、ありがとうございました!
【Nadia magazine vol.3】
著者・編者:Nadia magazine編集部
定価:748円(税込)
https://one-publishing.co.jp/books/nadia-magazine-vol-03/
(取材:水谷映美/撮影:我妻慶一)