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マインドフルイーティング「身体をスリムに、心は豊かに」

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2020年はかつてないほど食への注目度が高まった一年でしたね。

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、「お家時間」が増え、普段はできない手の込んだ料理やお菓子作りに挑戦した人も多いと思います。ホットケーキミックスが棚から消えるというニュースもありました。また、なんとなく冷蔵庫を開けて何かつまんだり、夜が長くてダラダラと食べたり飲んだり、仕事や動画を視聴しながらの「ながら食べ」が当たり前になったという人も増えたかもしれません。

この食習慣の変化に加えて外出制限による運動不足もあってか、今年「コロナ太り」した人の割合は日本人の30%~50%と言われています。あなたはどうですか?1年前と比べて食との関係性に変化はありますか?

今回は食べる機会が更に増える年末年始に特に意識したい「マインドフルイーティング」をご紹介します。マインドフルイーティングとは、食べ物の味、匂い、質感、身体の空腹感や満腹感に集中する食事方法です。

こんな研究結果があります。肥満体型を保つ10名がマインドフルイーティングを6週間実践し、その後12週間のフォローアップセッションを受けたところ、体重が平均で5キロ減少。また、体重の変化だけでなく、空腹感、ストレス、不安、うつ、過食症などの症状が緩和されたとのこと(Dalen他, 2010)。マインドフルイーティング、ダイエットだけでなく、心の健康にも効果をもたらすと言われているのです

さて、マインドフルイーティングの一番の特徴は、食べ物に意識を集中してゆっくり食べることですが、なぜゆっくり食べると体重の減少が起きるのでしょう。

よく知られているのは、噛む回数が多くなることで満腹感を覚えやすくなり食べ過ぎを防ぐことができるという考え方。これに加えて、最近の研究結果では、ゆっくり食べて噛む回数が多い方が食後の消費エネルギーが高いことも明らかになっています。

また、食べ物に集中しない「ながら食べ」では、食べ物を十分に楽しむ機会が失われ、脳が十分な満足感を得られないことから、満足を得るために食べ続ける可能性があるそうです(Harvard Health Publishing HEALTHbeat, 2020)。

胃も心も満たすマンドフルイーティング実践のために、以下を試してみてください:

1)「食べたい」と思った時、それが感情的反応か肉体的な反応か判断する

肉体的な空腹やエネルギーの低下ではないのに「食べたい」と思った場合、立ち止まってその原因について考えてみましょう。

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2)キッチンに何を持ち込むかに、意識的になる

手軽に食べることができて栄養価が高くない、いわゆる「エンプティーカロリー」のジャンクフード等は空腹で買い物している時に買ってしまいがちです。自分を真に満たしてくれる食べ物を選ぶために、空腹での買い物は避けましょう。

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3)整然とした食事空間を作る

心と身体の声をしっかり聞くためには、内面の静寂を生み出す環境で、落ち着いて食事をすることが大切です。テレビは消して、パソコン、電話、読み物も全て片付けましょう。

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4)タイマーをセットしましょう

20分後にアラームが鳴るようにタイマーをセットし、その時間までは食事を続けることができるようにしましょう。

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5)今、口に入れているものに集中する

通常私たちは、口に入っているものに意識を向けることなく次に食べるものを選んでいます。一つ口に入れたら箸を置き、意識を集中して30回噛みましょう。

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6)食べ物と深く繋がる

目の前の食べ物がどこから来たか考えてみましょう。調理をした人は誰ですか?そのレシピはいつ頃生まれたものですか?家族、特定の文化に長く伝わるものですか?どんな手間がかけられているでしょう?原材料はどこで作られていますか?あなたのテーブルに運ばれるまでにどれだけの人の手が加わっていますか?もしかするとあなた自身が育てた野菜や果物でしょうか?そうであったら素晴らしいですね。それらの成長を助ける水や土を作る自然にも思いを馳せてみましょう。

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7)「もっと」と思ったら、一呼吸

おかわりやデザートに手を出すために、本当に身体が求めているか、今一度確認しましょう。

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まとめ

今回は「マインドフルイーティング」をご紹介しました。パンデミックの影響で旅行等のレジャーが制限され、会食もままならなくなりました。しかし、もしかしたら食との関係性を見直し、真に心と身体を満たし、もっと言えば地球環境にも優しい食習慣を身につける絶好のチャンスかもしれません。

一粒の種が持つエネルギーを感じながら(家畜も植物を食べて大きくなります)、自分自身が偉大な自然や宇宙の一部であることを実感できるような(ちょっと大げさかもしれませんが)そんな食事を是非体験してみてください。

(寄稿:泉谷道子 - 心理学博士)


Dalen J, Smith BW, Shelley BM, Sloan AL, Leahigh L, Begay D. Pilot study: Mindful Eating and Living (MEAL): weight, eating behavior, and psychological outcomes associated with a mindfulness-based intervention for people with obesity. Complement Ther Med. 2010 Dec;18(6):260-4. doi: 10.1016/j.ctim.2010.09.008. Epub 2010 Nov 11. PMID: 21130363.


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