猫まっしぐら、アメリカ海軍機の”キャット”シリーズ その2
前回のアメリカ海軍機のグラマン”キャット”シリーズの続きです。
◆F7Fタイガーキャット
F7F タイガーキャットは、アメリカのグラマン社が開発し海軍が第二次世界大戦末期から戦後にかけて運用した双発の大型艦上戦闘機です。
愛称の「タイガーキャット(Tigercat)」はトラネコの意味だそうで。
制空任務のみならず地上攻撃任務や対艦攻撃任務も視野に入れられており、可能であれば雷撃能力を持つ事もできます。
この機体は実戦を経験することなく終戦を迎えました。1950年代に入ると急速に退役が進み、多くの機体が民間に払い下げられ、森林火災消防機に改造されて運用されてます。
◆F8Fベアキャット〜戦争には間に合わなかった最強のレシプロ艦上戦闘機。
ねこシリーズの最後は”ベアキャット” F8Fです。ビントロングというクマネコの愛称だそうですが、え、これ猫?猫なの?
ベアキャットは今までのキャットシリーズのように女性の意味はなく、”勇敢な闘士”という、戦争には一番相応しい愛称がつきましたが、空母で戦場に向かう途中で終戦という結果に。
性能も2,100馬力で零戦の約2倍の出力エンジン。さらに零戦よりも小型で総合性能では零戦を凌駕したといいます。この「小型の機体に大出力エンジン」という組み合わせはドイツの戦闘機Fw190の鹵獲レポートが影響していると言われています。
「エンジンも大きくなったんだから機体もそれに合わせて大きくすればいいじゃん」という今までのアメリカらしい発想はやめて、小さな護衛空母でも使えるように徹底的に機体設計を洗練した飛行機になっています。
開発も1943年11月からスタートし、その9ヶ月後には初飛行、そしてさらに6ヶ月後には最初の生産機がロールアウトという、アメリカの本気の工業力を見せつけた機体となりました。
性能は、本気のアメリカ海軍が開発したので、米陸軍のP-51マスタングと並び最強のレシプロ戦闘機、艦上戦闘機と評されることもあります。
折しも時代はプロペラ機からジェット機への移行期間でせっかくの高性能機もわずか1,300機あまりで生産が終了(F4Fは約7,700機、F6Fは約12,300機)、多くの数の機体が民間に払い下げられるかたちになった悲運の飛行機です。
しかし、実戦で使われていない、いわば新品で、これだけ高性能機ですから、アクロバットやエアレース用の機体として一躍大人気に。現在も大規模な改造を施された機体がアメリカの空を飛んでいます。
ちなみにプロペラ機として850km/hの最高速度記録を出した「Rare Bear」という飛行機は、このF8Fの改造レーサー機です。
◆おまけにF-14トムキャットも
おまけですが、映画「トップガン」でお馴染みのF-14の愛称はトムキャットは雄猫もしくは化け猫を意味するそうです。確かに可変翼を持つトムキャットに相応しい名前かもしれませんね。グラマン社って、ネコ好き多いのかな。
最後にまとめましょう。
F4F ワイルドキャット〜山猫、野良猫、意地悪女
F6F ヘルキャット〜地獄の猫、性悪女、意地悪女
F7F タイガーキャット〜トラ猫
F8F ヘルキャット〜勇敢な闘士
F-14 トムキャット〜雄猫、化け猫
この愛称やニックネーム、コードネーム関しては面白いので、またの機会に紹介したいと思います。