第二次世界大戦前夜に現れた謎の飛行体、"ワルシャワの白い天使"の正体とは?
前回の話でポーランドが出てきたので、それに関係した不思議なお話を。
第二次世界大戦が始まらんとするポーランド。その首都に不思議な飛行物体が現れていたという、ドイツ空軍の搭乗員たちの話が存在するのです。「UFOか?」結論は出ていないのですが、気になるところですので詳しくご紹介しましょう。
◆ナチス・ドイツとソ連に侵攻された悲劇の国ポーランド
第二次世界大戦のヨーロッパの戦火は、ドイツのポーランド侵攻にその端を発しています。1939年9月1日。ドイツ軍とその同盟軍であるスロバキア軍が侵攻を開始します。
ただちにポーランドの同盟国であったイギリスとフランスがドイツに宣戦布告をしますが、全面戦争を恐れて結局何もしませんでした。これは「まやかし戦争」と呼ばれています。イギリス、フランスは自分たちが侵攻される9ヶ月間、ドイツに宣戦布告をしているにも関わらず戦争を行わなかったのです。
ポーランドは同盟国に正に裏切られたかたちで、単独でナチス・ドイツの侵攻を食い止めようと戦うのですが、なんとナチス・ドイツと密約を交わしていたソ連軍が背後からポーランド領内に侵攻してくるのです。ナチス・ドイツの侵攻から間もない9月17日のことでした。
正面と背後から責められたポーランドはあっという間に占領され、ナチス・ドイツ、ソビエト連邦、リトアニア、スロバキアの4カ国に分割占領されることになり、長い間、圧政の下に置かれることになります。
連合軍と枢軸国同士の戦いとされる第二次世界大戦ですが、実は両軍から責められ、占領され苦しめられた悲劇の国が存在するのです。
◆首都ワルシャワ上空に現れる不思議な飛行物体
1939年9月1日から始まったポーランド侵攻作戦は、ナチス・ドイツの航空機による爆撃で始まります。
航空機は侵攻作戦における主力でした。爆撃機は無差別爆撃により都市と一般市民を攻撃し、一般市民の間に多くの犠牲者を出します。
ドイツ空軍は1,180機のBf109戦闘機、290機のJu 87急降下爆撃機、290機の爆撃機(He 111爆撃機が中心)、その他240機の水上機や偵察機などで編成されていました。
当時のドイツは全部で3,000機近い航空機を保有しており、その半数がポーランド戦線に投入されたのです。
そのドイツ空軍のパイロットや搭乗員たちの間である噂が広がっていました。それは、"ワルシャワの白い天使"と呼ばれるものでした。
その姿をあるものは戦闘機と主張し、あるものは爆撃機だろうと主張します。しかし、はっきりとその姿が分からない奇妙な機体であることは確かなのです。
しかし、彼らの目撃談で共通していることが幾つか存在します。それは、ドイツの爆撃機編隊がワルシャワ市を爆撃しようと侵入してくる直前、ワルシャワ周辺の空に出現するということ。
この機体は眩いばかりの白色に輝いており、太陽光を反射させ輝きを放ちながらワルシャワ周辺の上空を飛んで間もなく見えなくなります。
この”ワルシャワの白い天使”は、侵入してくるドイツの爆撃隊には干渉する気はまったくなく、ただ、姿を現わすだけなのですが、ワルシャワ市民の中にも目撃談があるようで、ドイツ爆撃機の接近を知らせてくれるようなのです。
しかし、ドイツ陸軍がワルシャワ市を占領すると、一切姿を見せなくなったといいます。
◆"ワルシャワの白い天使"の正体とは
この奇妙な機体の正体とは一体なんなのでしょうか。
爆撃機を先導する嚮導(きょうどう)機という機体はあります。これはパスファインダーとも言われ、嚮導機が爆撃機の場合は、最初に爆弾を投下して後続機に目標を示したりもします。偵察機や戦闘機で行うこともありました。
しかし、嚮導機の場合、肝心のドイツ空軍のパイロットたちが知らされていないのでは意味がありません。
他国の偵察機?それでは爆撃が始まる前にしか現れないというのも不思議です。それ以外のところでも現れてもいいようなものです。
眩いばかりの目立つような真っ白な塗装?無垢のジュラルミン?
なぜ、目立つ塗装で現れるのか。迷彩色でないのも偵察機としては不思議です。
ドイツ空軍のパイロットたちでさせ、知らない新鋭機?それが自国のものであるのか、他国のものであるのかは不明ですが何の目的で?
当時はUFO(未確認飛行物体)などの存在は広がっていませんでした。もしかすると、謎の未確認飛行物体が戦闘機や爆撃機のように見えたのかもしれません。
いずれにせよ、ワルシャワが破壊されてポーランドが占領されると姿を現さなくなった、この”ワルシャワの白い天使”の正体とはいったい何だったのでしょうか。正体は謎のままです。
おそらく正体を突き止めようにもこの後、本格的に第二次世界大戦が始まってしまうのでそれどころではなくなったのでしょう。
◆大厄災の前に現れる象徴なのか
私がこの”ワルシャワの白い天使”のエピソードにちょっと興味を抱いたのは、このポーランド侵攻におけるワルシャワ爆撃こそが、これから人類が初めて体験する史上最悪の第二次世界大戦の紛れもない始まりだったことが関係しています。
ワルシャワ上空に現れたもの。それは、これから始まる未曾有の厄災を予告するために現れた悪魔なのでしょうか。それとも傲慢な人類に対する懲罰とも思える運命をじっと見つめる天使たちなのでしょうか。はたまた別の星から観察にきた宇宙人たちなのか・・・。
私には、これから始まる"戦災の死者たちの魂を先導するなにか"の象徴のように思えてなりません。
現在、第三次世界大戦はもうすでに始まっていると言われています。その日は数十年経ってから「あの日が第三次世界大戦始まりの日だった」と教科書に書き込まれるかもしれません。
そして"ワルシャワの白い天使"のようなものは、すでにこの世界に現れているのか、それともこれから現れるのか、興味深いところではあります。
<参考文献>『空の上の超常現象』Mケイディン著
ポーランド侵攻(Wikipedia)