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零戦だけじゃない?零式の名を冠した軍用機たち

 皆さんが日本の代表的な戦闘機は何?と聞かれると、まず真っ先に名前が浮かぶのがゼロ戦ではないでしょうか。零式艦上戦闘機です。
 でもこの零式って名称は他の兵器にも沢山あるのです。この”れい"ですが、大日本帝国海軍が西暦1940年(皇紀2600年)に採用した装備(兵器)につけた型式には、すべて付けられていました。皇紀は今では全く使われなくなりましたね。
 帝国海軍では零式を。帝国陸軍では一〇〇式という名称を使いました。
 ちなみにこの1940年に採用になった海軍機には以下のものがあります。

  • 零式艦上戦闘機〜三菱重工 10,430機生産

  • 零式観測機〜三菱重工700〜1,000機生産

  • 零式水上偵察機〜愛知航空機1,418機生産

  • 零式小型水上機〜九州飛行機126機生産

  • 零式輸送機〜中島飛行機416機生産 

  • 零式水上初歩練習機〜川崎航空機18機生産

ややこしくなってきたので、忘備録も兼ねて整理しておきたいと思います(^^)


■その任務達成できず〜零式観測機

零式観測機F1M1-M2 連合国からのコードネームはPete

 三菱製の複葉の観測機です。短距離偵察&着弾観測が主な任務です。敵機が来たら格闘戦もできるように速度を犠牲にして複葉機になりました。愛称は「零観(ゼロかん、れいかん」。
 この零式観測機ですが、開発目的は、戦艦などの砲弾の着弾観測にありました。なので戦艦などに格納して搭載しています。カタパルトで発射、クレーンで引き上げる形です。
 開発当時は、大艦巨砲主義全盛の時代。海戦の主流は戦艦同士の砲撃戦になるものと考えられていました。射撃性能も向上して、40km先との敵との撃ち合いは水平線の向こう側への射撃となります。
 この味方の射撃の着弾の位置を精密に観測して、次の斉射のための修正指示を出すための観測が目的の航空機、それがこの零式観測機だったのです。

1/144「水上機コレクション」のパンフレットより

 実際には空母同士で攻撃機同士の叩き合いになり、観測機としての任務が果たせなかった零式観測機でしたが、その一方で、その格闘性能を買われ、水上偵察機、または掩護にも意外な活躍を見せます。二式水戦(零戦の水上機型)と肩を並べ、様々な任務で幅広く活躍することになるのでした。

■日本海軍の目として終戦まで活躍〜零式水上偵察機

零式水上偵察機E13A 連合国からのコードネームはJake

 こちらも水上の偵察機で艦船に搭載できるタイプなのですが、3人乗りです。先程の零式観測機と名前がややこしいので零式水偵零水とも呼ばれてますが、明確に零式三座水上偵察機とも表記される場合もあります。艦隊搭載も陸上基地からもOKという要求に応えた軍用機となっています。艦上偵察機としては「彩雲」に主役を譲りますが、三座は使い勝手がよく終戦まで活躍しました。

■なんと潜水艦専用機〜零式小型水上機

零式小型水上機 E14Y。連合国のコードネームはGlen

 今度は潜水艦専用です。段々とややこしくなってきましたね(笑)。この機体は潜水艦専用と言いつつ126機も製造されています。
 潜水艦で奥深く侵入し、要地偵察が主な任務です。潜水艦から引っ張り出して翼を出してエンジン回して発艦までわずか10分。
 なんとこの機体、アメリカ本土空襲した唯一の機体として有名です。アメリカオレゴン州の森林に焼夷弾を投下し山火事を発生させました。被害はそんなに大きくないのですが、アメリカ人たちにとっては大きな影響を与えたことになりました。この話はちょっと後日談が面白いのでまたの機会に(^^)

■和製ダグラスDC-3〜零式輸送機

零式輸送機L2D、連合国のコードネームはTabby

アメリカのダグラスDC-3の国産化です。有名なので日本軍機なのに日本の搭乗員からも「ダグラス機」と呼ばれたことも。こちらも参照にどうぞ。

■零式水上初歩練習機

零式水上初歩練習機
https://連合艦隊ww2.jp/ww2aircraft056.htmから

 零式水上初歩練習機は、第二次世界大戦中の日本海軍が1940年に制式採用した川西航空機製の軍用練習機です。
 1937年に九〇式水上初歩練習機の後継機として開発が始まり、川西航空機が他社より性能が優れていると判断され、改修を経て採用されました。
 しかし、戦争末期には量産体制が整わず、既存の九三式中間練習機も使用されたため、生産機数は少なく、運用実績も限られました。全ての生産機は土浦海軍航空隊に配置され、飛行機への適性を判別するために使用されました。

九三式中間練習機通称「赤とんぼ」です。

■現代でも採用された年を◯◯式として使うのは多い

 このように年代で◯◯式とするのは日本軍の伝統のようで、陸軍でも一式戦隼(皇紀2601年採用)、二式戦「鍾馗」(皇紀2602年採用)、三式戦「飛燕」(皇紀2603年採用)、四式戦「疾風」(皇紀2604年採用)、五式戦(皇紀2605年採用)とあります。 
 これは戦後の自衛隊でも採用されている方式です。但し皇紀ではなく西暦に合わせてます。10式戦車は2010年採用とか。
 零式がやたら出てくるので、一旦整理してようやく落ち着きました(笑)。


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