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それはまるで鳩のよう〜エトリッヒ・タウベ
◆世界初の軍用機〜エトリッヒ・タウベ
これ、グライダーではないのです。第一次世界大戦の初期に活躍した飛行機で、いわば世界最初の軍用機なのです。
名前はエトリッヒ・タウベ(またはルンプラー・タウベ)。設計者はオーストリアのイゴー・エトリッヒ(1879〜1967)という方。ライト・フライヤーが飛行に成功して、わずか7年後の1910年に開発された飛行機なのです。
見ての通り、鳩に似ていることからドイツ語の”タウベ”と名付けられました。
ドイツのルンプラー社と契約して生産されたことからルンプラー・タウベとも呼ばれているのですが、その後、ルンプラー社が勝手に大量生産をしたことにエトリッヒ社が激怒。そこで、ルンプラー社に独占させないように特許を放棄してしまいました。
そのおかげでライバルのアルバトロス、アルバース、ゴーダ、ローランドなど世界中の会社でこのタウベが生産されるという事態になりました。実に様々なバリエーションがあるのもこの飛行機の特徴だそうです。
結果としては航空機業界の発展に貢献したのでしょうね(笑)。
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グライダーのような優雅な翼を備えていますが、それもそのはず、1896年に墜落死したオットー・リリエンタールの業績を継承しようとしてリリエンタールの遺品グライダーを買い集めて研究を重ねた成果の機体なのです。
イゴーのお父さんのイグナツ・エトリッヒと共に自然界の様々なものをみて研究しました。
当然、最初は鳥から入りますが、人工機械ではとても真似できないと悟り、植物の種子の飛ぶ形を模倣したそうです。着眼点が流石ですね。
ほとんど無尾翼機のようなスタイルですが、40馬力のエンジンで時速90km/hで飛行することに成功しています。安定も良く1913年にはベルリン〜パリ間の飛行にも成功しています。
◆世界初の軍用機としてデビュー 最初の任務は偵察
その後、第一次世界大戦が始まると、このタウベは複座の偵察機として活躍します。大量生産だれていたこのタウベ。ドイツ軍の軍用機の約半分はこのタウベだったといいます。
平和の象徴とも言われている「鳩」の名を持つタウベが、世界最初の戦争に使われた飛行機というのもなんとも皮肉な話ですが、まあ、戦争にはよくある話です。
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ただ、いかんせん、4年も前の構造だと旧式と言わざる負えず、多数の張り線構造も整備兵を悩ますことになりました。ということで半年余りで前線から下げられ、他の機種に交替することになります。
ただ、練習機としては評判がよかったので、はやりタウベ鳩らしい機体だったのかもしれません。
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全長:8.20m 翼幅:13.80m 翼面積:32.0m²
総重量:910kg 乗員:2名
最大速度:120km/h 航続時間:4時間 最大高度:2,000m参考:
参考文献「続々・ヒコーキの心」「日本の名機100選」など