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鹿児島暴徒肖像略伝

明治政府に反旗を翻し西南戦争に臨んだ薩軍の幹部9名が描かれている。右から池上四郎、桐野利秋、淵辺高照、西郷小平、西郷隆盛、村田新八、町田啓次郎、前原一格、篠原国幹だ。背景の旗の「新政厚徳」は万民に平等な新政治を意味し、明治新政府への不満を表すために薩軍が使用したとされる(出典)。

西南戦争錦絵は概して薩軍に好意的で、判官贔屓の国民性と明治新政府への反発が理由だった。本作の構図は、仏教画の流れを汲んだ江戸期浮世絵の武田24将図から採用しており、武者絵の流れをくむ。幹部の装いは和服から洋服まで多様で、明治時代特有の艶やかなファッションを反映して興味深い。反面、時事性を重視して急いだのか摺りはやや粗い印象。

ちなみに、2018年のNHK「西郷どん」がブームになったので浮世絵業界というか古書店・ギャラリーも西南戦争錦絵をこぞって扱ったがさっぱり売れなかったという話もあったらしい。ただ西南戦争錦絵に注目を集めたのは事実で、芳年作品はそれなりの値がついて人気も高くなったようだ。


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